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書籍

アジサーの日記

アモル砦にいとこのイディーファを訪ねたあと、俺は家族をアイスハンマーの貯蔵所に連れていくことに決めた。妻子を墓の外で待たせ、運べるだけの黄金と遺物を取りにいくつもりだ。自分で言うのもなんだが、これでも腕利きのトレジャーハンターだ。それが、例の金貸しどものせいで、家族ともども首が回らない状態ときてる。これ以上取り立てが酷くなる前に、充分なお宝を手に入れて借金を返済しなければ。

***
俺は貯蔵庫を荒らす最初の試みから生還を果たした。忍び足でかわせなかったドラウグル1匹を倒さなければならなかったものの、少なくとも、金塊がいくつか入った小さな櫃を見つけることはできた。借金の返済には全然足りないが、それでも幸先のいいスタートには違いない。

キャンプに戻ってみると、天候が悪化していた。かわいそうな妻は凍え、赤ん坊もむずかっている。2人を雨風のなかに置いていくことはできないが、かといって嵐の中を移動するのも危険すぎる。結局、2人を連れてアイスハンマーの貯蔵所に引き返すより他に手はなかった。

***
墓の中は少なくとも外よりは暖かいし乾いている。それに、お宝探しのほうもうまくいっている。あと2、3日励めば、借金を完済するのに充分な品が集まるだろう。少しはお釣りが出るかもしれない!

ただ、ドラウグルがだんだん厄介な存在になってきている。奴らは俺たち家族を捜し回っているように見える。いや、馬鹿げた考えなのは分かってる。なんだかんだ言っても、奴らは思考力のない歩く死体にすぎない。それでも、協力して俺たちを捜しているようにしか見えないんだ。

いまいましい空模様め! 外を吹き荒れる嵐は依然として激しく、とてもじゃないが無理はできない。それに、墓のなかの玄室からもう少しだけお宝を失敬してくる必要がある。あと一晩だけ。あと一晩すごしたら、家族を連れてここから出ていこう。

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俺は馬鹿だった! 救いようのない愚か者だった! 俺が玄室の1つを物色しているあいだ、ドラウグルの群れが俺の築いておいたバリケードを突破し、かわいそうな妻に襲いかかったのだ。怪物どもから俺たち2人の子供を守ろうとしながら、勇敢に死んでいった妻の姿が目に浮かぶ。だが、そんな妻の頑張りも無駄だった! 結局、妻も赤ん坊も助からず、俺はこうしてこの呪われた貯蔵所に取り残されている!

… 誰もいない通路の先に、別の出口を見つけた。ドラウグルを避けてそこから脱出できないかどうか、試してみるつもりだ。

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