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書籍

アンベリーへ

アンベリーへ、

さあ、二度は言わないわよ。信用してるからね、アンベリー! あなたは私が友達になった唯一のハイエルフなの。失望させないで! 私たちはもう、もったいぶった態度を取る段階は過ぎたでしょう? イフレもご存じのとおり、私はああいうのに我慢が… ああ、手紙でも愚痴を言っちゃう! まあ、それはともかく。

私はある地位を得たの、それも大きな地位を。女王の密偵になったのよ!

いや、あなたも悪い噂を聞いたでしょうけど、そんなのは全部嘘よ! あなたの同族が女王について言うことときたら。私はグリーンレディについてあんなひどいことは言わないわ! 女王陛下は、ならず者を雇って民を命令に従わせたりしない。女王が信頼しているのは善良な人々よ、アンベリー。彼らはアルドメリ・ドミニオンのために多くの善行を施している。それは信じてほしい。

それに、私はとてもしっかりと面倒を見てもらえている。加入してから、師はとても丁重に教えてくれるの。愉快なカジートで、とにかく冗談を言うのが好きなのよ。でも、ちょっと演技しているんでしょうね。彼は女王に最も信頼されている人物の一人なんだから。私たちの仕事は、気の弱い人にできるようなものじゃない!

ついに私も何かの役に立てるのよ。ああ、サマーセットに移住してからこんなチャンスが訪れるなんて思わなかった。私はウッドエルフだし、誰も私なんかまともに取り合わないだろうと感じてた。それなのに、女王その人に抜擢されるなんて! とにかく、私の努力がついに実を結ぶのよ。裏切り者と殴り合うとか、密偵を相手にするの。どんな冒険が待っていることか!

ただ、あなたを置いて行かなければならないのが残念だわ。それが唯一の心残り。できるだけ頻繁に手紙を書くと約束する。でもあなたに、どれだけ事情を伝えられるか分からない。とにかく私は無事だって知っておいて。きっとまた会えるわ。でもね、たまには私のために祈ってくれてもいいわよ。あなたのところの気難しい神々だって、ちょっと私を探すぐらいのことはしてくれると思う。だって、私は、アルドメリ・ドミニオン全体を助けてるんだから!

さあ、すぐに出発しなきゃ。でもあなたには心配してほしくないの。こんな手紙を書いてはいけないんだけど、直接会って伝える時間がない。だから、読んだ後はこの手紙を燃やしてくれるって約束してね。本気で言ってるんだからね! きっと記念にとっておきたいと思うだろうけど、間違った人の手に渡ってほしくないの。だから署名もフルネームでしないようにするけど、あなたには誰だか分かるでしょ。

たくさんの愛をこめて。それから、イフレの祝福が私たちにありますように!

-T

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