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書籍

ハグ沼の魔女

第二紀567年、グレナンブラのハグ沼のハグの観察記録。放浪者ボノリオンの日記より。

グレナンブラを旅していたとき、水の多い地域に辿り着いた。奇妙な木がそこら中に生えていて、水は濁っていた。住人にこの土地について聞いたところ、「ここはハグ沼だ。見てのとおり湿原だ」と答えた。ここを探索すると、どんな生物と出会えるのかということも尋ねた。彼はややそっけなく、「ハグだ。そうでなければハグ沼なんて呼ぶはずがないだろう?」と答えた。地元の住人達とは積極的に会話をするようにしている。いつでも私の旅に信頼性を与えてくれるからだ。

しつこくハグについて聞き出すと、彼はその生物のことを魔女の仲間だと説明した。素晴らしい! 私はこの土地のマジカの様々な利用方法を調べるのが好きなのだ。無口な彼に、沼の婦人がどこにいるか聞いたところ、彼は面倒くさそうな声を出した。「お前が愚かにもその「婦人」とやらに会いたいというのであれば、沼の北部に行くことだ。茶でもてなしてくれるかもしれないぞ」。地元民は魔術を使う彼女達を常に警戒しているが、私は沼の魔女達が知的な対話に応じてくれると確信している。

***

ハグの住んでいる地域を見つけた。残念なことに、かなり攻撃的なクロコダイルのせいで、片方のブーツと杖、それにバッグをひとつなくしてしまった。彼らもまた、この沼を自分達の縄張りだと主張している。だが、近くにいるハグのものだと思われる、樹上に作られた住処をいくつか見つけた。今も小ぶりな低木の影から観察を続けている。直ちにメモをとることにした。

ハグは少し不自由な体をしていて、杖を使って歩く。

ハグの身なりはややだらしなく、明らかに年老いている。

ハグは沼で見つけた素材を使って、かなり粗野な衣装を作っている。

若くて可愛らしい魔女の一団もいるが、年配のハグとは一緒には暮らしていない。

男は仕事に出掛けているようだ。なぜなら現在まで男のハグを発見できていないからだ。男は別のキャンプで暮らしているのだろうか? メモ: ハグに一族の男性のことを聞く。

観測地の一番近くにいるハグのひとりが、大きな釜を使って何か料理しているようだ。この沼地で災難に見舞われた私にしてみれば、暖かいシチューとお茶は大歓迎だ。年配の婦人を驚かせないように、慎重に近づいてみることにしよう。

—ウィレス・ガリアネの記録

沼地から這いずり出てきた怪我だらけのボズマーを見つけた。彼はハグとクロコダイルに出くわしたが、何とか生き延びることができたようだ。彼は精神が錯乱していて、お茶とシチューを要求し続けてきた。私達は治療してから彼を送り出すことにした。だがその頃には、キャンプにいるウィレスのほぼ全員が彼に声をかけられていた。彼がメモの一部を忘れていったため、私達はそれを保管することにした。土着の生物と習慣に対してまったく理解力がなく、その観察力も馬鹿げていることを考えれば、これは彼の今後の旅の安全を占う上で、良い前兆とは言えないだろう。

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