仲裁者アンバーウェンの報告書
- 遺物マスターグレナディルによる複写
報告4587: 南中の月27日
容疑者を拘束し、杖は魔法の検疫に回した。容疑者の家で見つかった正式な書類から、あの男は街で有名な紡ぎ手から杖を作るように委託されていたことが分かる。あの杖はもともと、絡まった糸をほどくためのものだったと考えられる。
本件においては、数名の目撃者による証言が集められた。
「ああ、アニルヨンの隣人になってからもう数年になる。彼からは全て聞いた。解ける杖と呼んでた。最後に話を聞いた時は、見事に機能してた。どうした? 何かあったのか?」
「ひどかった! 彼は狂ったように笑いながら通りを走っていた。そしてどこかを示し指すたび、哀れなエルフの服が解けてしまった! あれは恥ずかしい」
「服が解けるというのは知らない。建物がばらばらになる様子に気が取られていた! 石や板が、まるで生きてるかのように飛んでいった。知らなかったな… 死者が何人だって?」
「ああ、見た。杖で指したら… 彼女はただの若い娘だった。どう説明したらいいか。ああ、かわいそうに。彼女の肉体がまるでただの… すまない、もうこれ以上話せない」
容疑者は法廷が承認する日まで留置。保釈は認められない。
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