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書籍

狩人の真実、パート2

セリエルは慎重に岩から岩へと手を動かした。素早く雄ジカを見つけなければならないと分かっていた。頂上までやってくると、獲物を見つけて逃げ道を遮った。

彼女は草の根を掴んで、次の露出部に向けて身体を引き上げようとするが、自重に負けて落ちてしまった。落下する中でセリエルは狩猟用ナイフを掴み、土壁に突き刺した。

ナイフは落下速度を緩めたが、十分ではなかった。突き出た岩に身体を強く打ち、多少跳ね返って絶壁に通じる小さな裂け目に滑り落そうになった。茫然とするセリエルは血に染まった手を尻で拭った。時間が経ちすぎてしまった。雄ジカには完全に逃げられてしまった。

セリエルは怒りでうなり、岩につばを吐いた。慎重に立ち直るともう一度登り始めたのだった。一掴み、一掴みと彼女は進み、常に空を見ていた。彼女が通った絶壁は間もなく血の手形の跡が残った。

ついに絶壁の頂上へ辿り着き、崩れ落ちて苦しさに息をのんだ。横向きになると小さな苦笑いが漏れた。そしての茂みの中に対の黄色い目を見つけた。20歩足らずのところだ。.

セリエルは狼から決して目をそらさずに起き上がった。脇へ跳躍してナイフを引き抜き、挑戦的なうなりを発する。容易い獲物にはならない。

狼は疾走し歯をむき出しにしたが、躊躇した。彼女はためらわなかった。ナイフを投げつけたのだ。刀身が狼の眉間に叩きつけられた。狼は力なく地面に倒れた。

セリエルは息をついた。狼からナイフを引いて山林を見つめ、獲物の気配を探る。東に動きが。枝角だった。まだ捕まえられる。

彼女は森林へ駆け出した。

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