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書籍

ストームフィスト・クラン

最果ての放浪者ソーラ著

ノルドのクランはマンモスの群れのようにスカイリム全土に広がったが、その数と土地におよぼす影響力はマンモスの比ではない。もっとも、各クランが名を馳せる理由はそれぞれ違う。狩猟の腕前で知られるクランもあれば、森林に精通していることで知られるクランもあり、クラフトの技術で知られるクランもある。大柄なクランもあれば、小柄なクランもある。政府や共同体で華々しく活躍するクランもあれば、忌まわしく、暗いイメージがつきまとうクランもある。後者は誰もが関わり合いになるのを避け、その名を口にするのも憚られるクランだ。そうしたクランの1つとして、ホワイトラン・ツンドラを本拠地とする悪名高いストームフィストを挙げられる。

ストームフィストの系譜を遡れば、クランの始祖であり50年近くに渡って率いた力強い女族長、オグラ・ストームフィストに辿り着く。戦闘技能と鎧作りの腕前を高く評価されたストームフィスト・クランは、何世紀にも渡り、数々の戦いで中心的な役割を果たした。ホワイトラン要塞の戦い、ダイアルマーチの虐殺、ウィンドヘルム包囲…。ただ、ウィンドヘルム包囲を最後に、この一族は信頼を失い、忌むべき存在の烙印を押されてしまう。

第二次アカヴィリ襲来の前夜、東スカイリムを統べるマブジャールン女王の息子、強健王子フィルジョアは、異郷とそこに住む人々を自分の目で見るため西方に旅した。そこで王子はストームフィスト・クランの若い男女たちと出会い、後に大いに役立ってくれる友情と絆を育む。やがて、成人の試練に挑む覚悟ができたフィルジョアが旅を再開する際、ストームフィスト・クランの仲間が彼と旅を共にすることを決める。やがて彼らはストームフィスト旅団と呼ばれるようになり、フィルジョアは生まれながらの仲間ではないにもかかわらず、事実上の指導者となった。

もし、それ以前のストームフィスト・クランに何がしかの評判があったとしても、ストームフィスト旅団が築いた伝説の前で色あせてしまった。彼らは勇猛な戦士たちであり、冒険を求めては、王国で最も敵意に満ち、最も周囲から隔絶された地域へと足を向けた。フィルジョアに率いられた彼らは山賊の集団を潰走させ、埋もれた財宝を見つけ、怪物を倒した。アカヴィリの侵略軍が攻め寄せたとき、フィルジョアはストームフィスト旅団を率いて戦いの渦中に身を投じる。そうして彼らはついにウィンドヘルムまでたどりつき、マブジャールン女王及びその主力との合流を果たした。

ウィンドヘルムの陥落を防ぐことも女王を救うこともできなかったものの、ストームフィスト旅団は侵略軍を敗走させるために功があった。彼らはノルド連合軍の一翼を担い、土壇場で加わったダークエルフおよびアルゴニアンと共にアカヴィリを打倒したのである。しかし、それに続いて運命の決断がなされた。フィルジョアが姉ナルンヒルデの死によって空位となった玉座に就く意思を表明したとき、ストームフィスト・クランは王子を最も強く支持する輪に加わったのである。その結果どうなったかは承知の通りだ。ジョルンとフィルジョアは一対一の果し合いにおよび、結局ジョルンが王座を勝ち取った。フィルジョアは追放の憂き目に遭い、いつか戻ってくることを誓ってスカイリムを離れた。

ストームフィスト・クランはフィルジョアに対する忠誠を最後まで貫き、ジョルンの前に頭を垂れることも、その王たる権威が自分たちに及ぶのを認めることも拒んだ。彼らは西の故郷に帰ってゆき、戦いに倦み疲れていたジョルン王もあえて止めようとはしなかった。以来今日に至るまで、ストームフィスト・クランは外界との交わりを絶ち、自分たちの縄張りから外に出ることも、クランより大きなノルドの共同体に加わることも稀だ。ただし、もし彼らが故郷のツンドラ地帯を離れ、他のクランの間で地位を回復しようと決意した場合、何が起きるかは誰にも分からない。特に、もしフィルジョアが自らの誓いを果たしたとしたら、そのときどうなるかは神のみぞ知る。

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