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書籍

鱗のエルフ

マリン・ラロワ著

船員の物語好きは有名だ。遥か遠くの地の途方もないほら話、巨大な獣、莫大な財宝、美しき誘惑者、世界を滅ぼすほどの嵐。多くの者はこうした主張に健全な懐疑を向けるが、全ての伝説が純粋な空想ではない。比較的平穏なイリアック湾から離れれば、海には真に恐るべきものがいろいろと潜んでいる。マオマー・リヴァイアサンはそうしたものの一つである。

シーエルフを見たことがない人のために言っておくと、彼らは奇妙であるが目立たない。体型はハイエルフに似ており、肌は海の水しぶきの色、目は青ざめている。緻密に描かれたタトゥーと悪意ある態度を除けば、大半の人は注意して見ることもないだろう。しかしあの種族がリヴァイアサンと呼んでいる存在は、あなたの血を彼らの血のように冷たくする。

不浄な魔術によってシーエルフとシーサーペントをかけ合わせて生み出されたこの巨人は、目いっぱい背を伸ばした最も背の高いノルドよりも頭1つ半ほど大きい。もっともこのエルフは大抵の場合、噛みつこうとする蛇のように、屈んで背を丸めた獣の姿勢をしているので、なかなか立っている姿は見られない。いざ動く時も、彼らは歩くというより捕食者の動きで、ゆっくり滑るように移動する。まるで地面と足のどちらにも慣れていないかのようだ。

私が生きたリヴァイアサンを見た最初の時、彼女は船の船体をムカデのようによじ登っていた。滑りやすい板を苦もなく伝いながら、ジグザグに進んでいた。その青い鱗には光が当たってきらめき、ほとんど美しいくらいだった。だが死んだような白い目は鮫のように冷淡で、にやりと笑った表情は陰気だった。

彼女が右舷の手すりを乗り越えてきた時、恐怖は倍増した。彼女は一瞬で私に飛びかかり、巨体で私を甲板に引き倒した。とどめを刺されると私は思ったが、彼女は冷たく平然と見つめ、私は蛇を見たネズミのように凍りついた。私は魅了されると同時に恐怖していた。彼女の顎が元の位置から外れてガバッと開き、私を飲み込もうとしたので、ようやくショックから立ち直って抵抗した。

リヴァイアサンの怪力には到底適わなかったが、何とかして片手をもぎ放し、喉の奥に叩きつけた。リヴァイアサンは炎に喉を詰まらせ、その歪んだ生を終えたが、彼女が残した傷跡は、死ぬまで残るだろう。波の下に潜む鱗のエルフをもし見ることがあったら、私はあなたのために祈ろう。

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