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書籍

ロットウッドの謎

彼がどこから来たのか、最後まで分からなかった。エバーモアを少し出たところで旅人を襲っていたロットウッド・ブッチャーズという集団を襲撃したとき、彼は現れた。奴らの隠れ家を見つけたんだが、私たちの知らない出入口が他にあったのか、中は予想以上に人数が多く不意をつかれた。奴らの汚い洞窟内に閉じこめられていたとき、輝く甲冑を身にまとった彼がどこからともなく現れ、一振りごとに山賊どもを切り裂いていった。一気に流れが変わった。1人、また1人とロットウッドの悪党が彼の刃に倒れ、ついにいなくなった。

礼を言って名を聞いたんだが、返事をくれなかった。混乱しつつも自分から自己紹介をして、わが社が北バンコライから山賊と獣を駆逐する事業を行っていることを説明した。それでも反応はない。少しいらつき気味悪がりながら、我々は洞窟を出て野営地へと戻った。彼もついてきた。黙ったまま顔も見せないつもりなら歓迎しないと伝えたが、無駄だった。みんな落ち着かずピリピリしていた。敵意はなさそうだったし、先のロットウッド大虐殺を見た後で彼に挑もうとする者はいなかった。

結局ずっとそのままだった。一言もしゃべらず、食事は野営地から出て一人でとっていた。睡眠もとっていなかったようで、夜になると木や石に寄りかかるだけで、鎧を一部たりとも外すことはなかった。滑らかで曲線美があり、羽のような変な彫りこみがなされていた。銀色に黒が渦巻いていて、そんな美しいものが彼の全身をくまなく覆っていた。最初は落ち着かなかったが(誰だってそうだろ?)、彼は我々が見つけ出した山賊以外を傷つけることはなかった。逆にそいつらはひどく痛めつけられていたよ!

彼は何度も窮地を救ってくれ、おかげで我々も熱が入った。罪のない人々を攫っていた汚いハグ、悪臭のスワンプハートにとどめを刺したのも彼だった。奴は我々の動きを鈍らせる悪質な魔法を使ってきたのだが、彼には効かなかった。農民と家畜を襲っていたイノシシのブラッドガットが葉を怒らせる者を崖から突き落とそうとしていた時、助け出したのも彼だった。私自身、何度か命を救われた。彼は疲れ知らず、恐れ知らずで、おそらくだが、我らの目標に熱心に取り組んでくれていた。

今になっても、彼に名前があったのかどうか疑問に思う。そもそも「彼」なのかどうかも。おそらく一生分からないだろう。6ヶ月間、彼と行動を共にしたが、その6ヶ月で我々はこれまでにない成功を収めた。メンバーまで増やしたんだ。冬が来ると、いつも通りエバーモアに戻って休暇に入ったんだが(寒い時期はなかなか仕事がない)、ある朝目覚めると彼はいなくなっていた。足跡も痕跡も何もなかった。消えたんだ。誰に聞いてもそんな奴は見たことも聞いたこともないと言われるし、話をするといつも変な目で見られる。それはどうでもいい。どこにいようが、元気でいい仕事をしていることを願う。

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