黒きヒレのケシュの友人にして相談相手、ピーク・エリール著
成人の儀式を完了させるための3つ目にして最後の試練は「忍び寄るハックウィングの試練」だ。
これは私たちが大人の社会に席を得るために参加しなければならない儀式の中で、最も危険なものだった。
私たちはそれぞれ、1羽の巨大なハックウィングと共に牢の中に入れられる。
この猛禽は凶暴な生き物で、力強く自信に満ちており、私たちの誰にも劣らない有能な狩人である上に、空を飛ぶことができた。
私たちはこいつに攻撃させて血を流さなければならない。
ヘマをしなければ、血を流させるだけで重傷を負わずに済む。
その後ハックウィングは解き放たれる。
目標は、私たちを狙ったハックウィングを捕えて殺すことだ。
相手が私たちを殺す前に。
ヴォス・フルクとゾシンはくちばしの一撃を足に受けた。
どちらの傷も軽く、血は流れたが筋が裂けることも、骨が折れることもなかった。
ティー・ワンは左手を切らせ、肘から肩までの長く浅い切り傷を受けた。
ケシュは飛び退くタイミングを誤り、鳥に右目のすぐ上のこめかみを切り裂かせてしまった。
しかし私は、試練のこの部分を完全に失敗してしまった。
ハックウィングの鋭いくちばしに胸を直撃されてしまったのだ。
治癒師が言うには、ギリギリのところで心臓を外したらしい。
それでも私は深手を負ってしまい、続けられなくなった。
私は成人の儀式を完了するため、次の季節を待つことになる。
ケシュは私の無事を確かめることを望んだが、ラジ・ナッサは耳を貸さず、試練を続けるよう命じた。
黒きヒレかハックウィングか、どちらかが死ぬまで。
そのため、治癒師が私を助けているのを確かめるために最後の一瞥を送ってから、ケシュは目から血を拭って自然の中に駆けて行った。
伝統に則り、彼女は武器も鎧も身につけなかった。
自分の体と知恵だけを使うのだ。
狩人が、狩りを生き延びるべき時が来たのだった。
あなたは飢えたハックウィングに追われたことがあるだろうか?
当惑する経験であり、少々どころではなく恐ろしい。
大抵の場合は翼がはためく音と、空気のざわめきが聞こえてくるだけだ。
通り過ぎていく影に気づくこともある。
翼や爪が一瞬でも目に入ることは珍しい。
そして少しでも弱みを見せれば、ハックウィングは降下して傷を負わせようとしてくる。
その後は、ただ出血多量で倒れるのを待ちながら追ってくるのである。
儀式の場合、私たちはすでにこの鳥に血を流されている。
手段はどうあれ、追ってくることは間違いないのだ。
攻撃を予期しつつ、攻撃して迎え撃つのがコツだ。
(「私たち」と言っているが、私は実質的に試練から脱落していたことを理解してほしい。
私は負傷して弱っており、試練の残った部分の大半はほとんど意識もなかった。
何が起きたのかを知ったのは治療を受けて回復し、この季節の試練が終了した後になってからだ。)
ケシュは空の見える場所がほとんどないマーシュの一帯にハックウィングを誘い出した。
彼女は木の幹や葉の屋根を利用し、ハックウィングと現在位置との間に直線の道しか残さないようにした。
ケシュは木々のさらに奥深くまで進んで道を低くし、ハックウィングがついに攻撃してくる時には、上空からではなく水平方向から、それもほぼ地面すれすれの位置から攻めざるを得ないようにしたのだった。
ケシュは捕食者であり獲物である相手を待ちながら、傾いた角度に生えていた木から丈夫な枝を折って取り、粗雑ながらも先の尖った即席の槍を作った。
彼女は槍を構え、背中を木の幹に押し付けて、ハックウィングが姿を現した時に素早く槍を持ちあげられる位置に着いた。
長く待つ必要はなかった。
獲物が出血に倒れ、木の群れの中で動きを止めて力尽きたと思ったハックウィングは、急降下してケシュが用意した道にぴったりと沿って飛んできた。
ケシュは限界まで待ってから槍を上に向けて持ち上げ、後はハックウィング自身の速度と軌道がとどめを刺した。
狩りは終わった。
ケシュは勝利した。
彼女は成人の儀式を完了し、共同体の成人メンバーとしての席を得る準備を整えた。
そして彼女が最初にしたことは、駆け戻って私がまだ生きているかどうかを確かめることだった。
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