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書籍

笛吹き

笛吹きが街にやって来て、バグパイプを唇に当てて演奏し始めた。街の住人は彼を笑い飛ばし彼は街を去ったが、その音楽はかすかに鳴り続けていた。

その後笛吹きを見たものはいなかったが、時が経ってもそのバグパイプの音楽は鳴り止まなかった。街の住人が床に就くときにも鳴り響き、目を覚ましてもまだ鳴り響いていた。街の住人は眠ることができず疲れだし、毎日笛吹きを探した。しかし何も見つからなかった。

そしてある夜、その鳴り止まない音楽がこれまでにないほどの音量で空気を切り裂いた。その夜、街の住人は奇妙な生物や虫の夢を見てほとんど眠ることができなかった。住人が目を覚ましたとき、子供達が心地よく眠っていたはずのその場所は虫やネズミで埋め尽くされていた。街中の家から次々に悲鳴が上がった。母親達は路上に飛び出し、父親達は街中を探し回った。街の住人は不運を嘆き悲しんでいて気付かなかった… あの音楽が鳴り止んだということに。

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