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書籍

蒼白の紳士

よそ者が訪ねてきた
亡霊のようにやつれていた
無言で、火の側で震えていた
その者は深刻な顔で絞り出した
ほとんど聞こえない、ひどく虚ろな声
言葉の少ない、警告の呟き

蒼白の紳士が来る
冷たい風と暗い雲の日に
蒼白の紳士が来る
愛する人を奪うために
蒼白の紳士が来る

警告が発せられて間もなく
初雪が大地に降り注いだ
風の唸り声に心は怯え
陰る陽光に祈りを唱えた
扉を閉じて夜を締め出し
体を寄せ合って相談した

蒼白の紳士が来る
雪の外套に身を包んで
蒼白の紳士が来る
その手は骨まで凍えさせる
蒼白の紳士が来る

恐るべき嵐が止むと
体を伸ばして夜明けを待った
休むわけにはいかぬと
招かれざる客を待ちながら
剣を固く握り
盾の揺れる音にも耳を澄ませた

蒼白の紳士が来る
幽霊のように通り過ぎて
蒼白の紳士が来る
後も残さず消えていく

ついに夜は終わった
予告された訪問もなく
警戒が解け始めた時
私はよそ者がいた場所を見やった
だがどこにもいなかった
残っていたのは、冷たい輝きだけ

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