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書籍

スカーの墓場

アンルン・フローズン・コーブ著

スカーのくぼんだ目がキャンプを見つめ、火が萎れた顔を照らす中、クモの巣がスカーの視界を不明瞭にしている。今、スカーの開いた胃は入口を象徴しており、アッシュランダーの中でも最高に相応しい者にのみ開かれている。彼らは、先祖が戦い敗れた敵であるこの強大な獣の前を歩いている。音楽はなく、酒もないが、厳粛な瞑想と祈祷がある。聞こえるのは囁き声とパチパチと音を立てる炎のみだ。

アッシュランダーは、私のようなよそ者にほとんど声をかけない。部族外への愛は持たず、トリビュナルへ従うダークエルフに燃えるような憎悪を抱いている。混迷が深まり、灰の地に埋まり、敗れたスカーの脚以上に深く据えられるのを感じる。戦機が訪れれば、ヴァーデンフェルのダークエルフはほとんど躊躇しないだろう。

私は彼らの手法と習俗を理解しようとしている。恐ろしい獣との歴史、評議会の名家、過去の祠。スカーはいかにして敗北したのか? なぜその亡骸が集会場に使われているのか? 私の質問は大抵沈黙によって迎えられる。話そうとする者は食料や金の約束を求めて話し、ほとんど語ることがなくてもそれを求める。

私の知っていることは、彼らの先祖が戦いでスカーを倒したことだ。その方法は不明だ。槍と言う者もいるが、誰の手によるものかは言わない。この謎の戦士は誰だったのか? 彼はアッシュランダーの中でも高く敬われ、崇められているのではないのか? どうして誰も彼の名を知らない? 口伝による伝承が行われ、私が参加を許されたたき火の集まりで共有される伝承は、驚くほどこと細かい。なぜその名が記憶から抜け落ちている?

アッシュランダーの集まる墓場にも大きな重要性がある。その墓場は、殺害した相手を王座に載せる族長のことを、力と勝利の顕示のことを思い起こさせる。アッシュランダーが過去の勝利を思うにつれ、未来の栄光への希望も抱く。彼らはこの獣、強きスカーを倒したエルフ。その日が訪れたとして、彼らに成し遂げられないことなどあるのだろうか?

私はスカーの死骸を見る。全身に戦慄が走る。恐怖でいっぱいになるが、このアッシュランダーたちにとっては、希望と力の象徴なのだろう。視線はたき火に沿っていき、私は思いを巡らせる。強さから、誇りから何が生まれるのか? この部族にはどのような未来が待っているのか? 別のスカーが現れ、彼らがそれを倒す者になるのかも知れない。もしくは、敗れる者になるのか。真実は時の経過によってのみ明らかになる。

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