知識の代償

姉さんのことは大好きだけど、でも間違ってる。この呪いを解いて父さんを助けるのが先決のはず。今は散乱したページを探してる時間はないわ。ねえ、あなたが私たちの唯一の希望かもしれない。協力をお願いできる？

この呪いの力を吸い取って、同じくらい力のあるテルヴァンニの遺物へ移すことができるはず。もし他の賢者に助けを請えば、父さんのプライドは粉々になってしまう。だから遺物を借りるしか手はないわ

少し前まで、私たち一家のものだった遺物よ。こんなふうに没落してなければ… まあ、その話はいいわ。必ず取り戻すから

必要な遺物のリストよ。もちろん、報酬は払う

姉さんと私はここに残って、呪いに対抗する儀式の準備をする。たとえ呪いを解くことができなくても、苦痛をやわらげるくらいはできるはず。遺物を集め終わったら、また話しかけて

ええ、どうぞ。あなたの立場には立てないから、何でも聞いて。できる限り、あなたの不安を取り除くようにする

アポクリファの遺物を探すために、父さんが役にも立たない地図にどれだけの金貨を使ったか、数えたくもないわ。もちろん時間さえかければ、いずれ正解にたどり着くものだけど。私たちはおびただしい量のイコルをかき分けてまであの呪われた書を手に入れた。一体何のために？

崇拝とか、尊敬？ テルヴァンニのマスターが欲しがるのはそういうもの。この書物には最も尊敬されている賢者でさえ忘れてしまった、強大な秘密が込められてるという話よ。だから、近道だと考えたんでしょうね

父さんの自己顕示欲を擁護するつもりはないわ。母さんが死んでから何年も経つけど、未だに母さんの影から這い上がろうと苦労してる。父さんのやり方には賛同できないけど、あんな状態のまま放ってはおけない

母さんが死んだ後、私たちはその賢者に母親の名声を食い潰すならず者として扱われた。父さんは家族の生活のためにできることは全てやって、姉さんと私は教育を収めることもできた。それ以来、父さんは決して彼らに助けを求めないと誓ったの

父さんはできる限りのことをしたって言ったでしょ。そこには母さんの大切にしてた遺物の一部を売り払うことも入ってる。リストは遺物を取り戻すという私の誓いなの。もちろん、正当な方法でね。姉さんと力を合わせれば、きっと私たちの家族の名誉を取り返せる

姉さんがブツブツ言ってたページの話なら、あれは呪いが発動した時に解き放たれたものよ。書いてある情報は確かに価値があるけど、私たちは父さんの解放に集中するべき。ページのことはそのあとでいい

その遺物を扱う時は細心の注意を払ってほしい。ただのガラクタじゃないから。本音を言えば、集めずに済ませられたらよかった。一ヶ所に魔力が集中しすぎると… 大惨事になりかねないから

そうよね。結局、この国では家の地位が人の価値を決めるんだから。ああごめん、あなたのことを言ってるわけじゃない

私たちは3人家族よ。母が死んでから、父は研究に身を捧げた。そして見てのとおり、今私たちがここにいるってわけ

まだ私たちが小さい頃に、恐ろしい病で死んだの。すごく力のある魔術師だったから、その母を失って家族の評判は大きく損なわれた

父は、計り知れない価値を持つ発見をして、自分の… 私たちの失ったものを埋め合わせようと考えた

父はいつもテルヴァンニ家の創立者たちのことに執着してて、彼らが最も強力な秘密を壺に隠したとずっと信じてた。アポクリファの宝物庫に失われた日記が保管されてるという噂を聞いて、我慢できなかったの

私たちが戦ってきた理由の全てがあのページの中にある。途方もない秘密、遥かな過去に失われた呪文、強大なテルヴァンニの象徴の数々。私たちの名誉を取り戻す最後のチャンスが逃げてくのを、黙って見てるわけにはいかない

あんな状態の父を見てると恐ろしくなる。苦痛を和らげるためにできることは全部やった。もし遺物を持ってるなら、トラリスに渡して

戻ったのね！ 必要な遺物を集め終えたってことだとうれしい。申し訳ないんだけど、急いでたせいで儀式に必要な道具のことを考えてなかったの。本当にごめんなさい

あなたにアポクリファに行ってもらいたいの

エンサはこの呪いを弱めるのに3つの遺物では足りないと思ってる。賢者ニスファリクがアポクリファに隠した古代の聖句箱を手に入れるべきだって言ってるの。それを持ってきてもらえれば、箱に込められた力を儀式に利用できる

エンサは、ニスファリクが最も強力な聖句箱をニミック砦に隠したと考えてる。自分たちで取りに行きたいところだけど、準備を始めなければならないし。頼んでばかりで申し訳ないけど、お願い。もうあまり時間がないの

ありがとう。エンサと私は儀式の準備をする。戻ってきたらすぐに始められるように

アポクリファに入って、聖句箱を回収して。ニミック砦のどこかに保管されてるはず。姉さんと私はここに留まって、この呪いから父さんを解放する儀式を準備する

ニミック砦の広間を歩く時は気をつけて。聖句箱を見つけたら、なるべく早く戻ってきてほしい。愚かな父が起こしたこの騒ぎを早く終わらせれば、それだけ早く散乱したページを集められる

戻ったのね、先人に感謝を！ それに聖句箱もある。儀式に手を貸して

聖句箱をサークルの中に置いて！

気をつけて！ その力を扱うには代償が必要なはず！

父さんが自由になるなら対価は喜んで支払う

我が娘よ… お前たちが…

そんな… トラリス、あなた目が！

知識のデイドラ公を出し抜いたと思った私が馬鹿だった。愛娘のトラリスは私の傲慢さの代償を払ったようだ。頼む、トラリスと話してくれ

私は代弁者と話さなければ。やるべきことが山積みだ

もう胆汁の湖の中に沈んでいくような感覚はなくなった。あんたと娘たちのおかげだ。モラの魔術を扱うのに慎重すぎることはないと知ってはいたが、その私でさえあの呪いの強さには対抗できなかった

すぐに塗り替えられてしまうネクロムの記憶の中に、我が一族の名が消えてしまうのを防げる何かだ。だがやりすぎたのかもしれない。あんたがこの呪いを解く手助けをしてくれなかったら、娘たちが私なしでやらねばならなかっただろう

よそ者の親切に頼ることになるとは思わなかった。意図してたようなものは見せられなかったけど、私たちの家族にはまだ偉大なことを成し遂げる力があるって断言できる

私が実現させてみせるわ

呪いを解くのが簡単じゃないことはわかってたけど、私たちが使った魔術のせいで、二人とも限界まで追い詰められた。力尽きそうになったんだけど、トラリスが支えてくれたの。本人は認めないだろうけど、儀式の負担の大部分はトラリスが引き受けてた

呪いが解ける時は、マジカの爆発が起こる。呪いの力が強ければ強いほど、その衝撃も強くなるの。トラリスは儀式を支えてたせいで、それをもろに受けてしまった。時間をかければ治せるかもしれないけど、今はとにかく休まないと

あなたなの？ 何も見えなくて。でも、呪いが消えたのはわかる。大きな重りがなくなったような感じ。儀式は狙いどおりに機能したのね

父さんの呪いを解くには、代償が必要だったみたい。目が見えなくなったの。でも、父さんの声をまた聞けてよかった。あなたのおかげね

してくれたことに比べれば全然少ないけど、これはお礼よ

感謝の言葉も見つからない… みんなすまなかった… 愚かな私を許してほしい

またあなたの声が聞けてよかった。あなたが私たちや父さんの事件に出くわさなかったらどうなっていたか、考えるのも恐ろしい。でも今は、私も新しい目標を手に入れられた気がする

父さんは、努力はしたけどネクロムの他のマスターと同じだった。他人が背負ってる偉業や栄光に向かってよろよろと歩いてただけ。きっとまた同じ過ちが繰り返され、命が失われる。私はそれを変えられるんじゃないかと思ってる

一族の先頭に立つなんてあまり考えたことがなかったけど、私が家族の地位を高めたり、安全な手法や慎重な研究が売りのマスターになれたら… 大きな夢だけど、まずは一歩を踏み出すことが大事

こういうことを言ったら良く思われないかもしれないけど、でもやっぱり、散乱したページの問題は残ってる。父はもうすぐ回復するだろうし、トラリスも… まあ、できることはするわ。でも、どうしても考えてしまう

もしまだだったら、代弁者ギルヴァスと話してきて。彼はもう何十年もの間、私の家族に忠実な味方だった。この状況にどう対処すればいいかわかるはずよ。それでかなり気が楽になると思う

私たちはあの書の秘密を解き明かすことはできなかったが、貴重な教訓を得た。あんたがいなければ、娘たちは父親も失っていたかもしれない

回復したら、トラリスを治すことに専念する。もちろん散乱したページの問題はあるが、きっと代弁者ギルヴァスが対処してくれるだろう。私は娘の面倒を見なくては