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書籍

テラリのメモ

どうやら彼は、馴染みの場所をうろついているようだ。彼は私の最初の工房へ戻ってきた。出会った場所だ。今の絶望的な状態では、彼は認識できないだろう。たださまよい、叫んでいるだけだ。迷い、孤独で、痛みを感じている。ボリン、許して。
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私は静かな時に、思い切って彼に近づいてみた。しかし、私の姿は彼を興奮させただけだった。彼は自分の身に何が起きたかを知りたがったが、不安から暴力性を増した。彼の体は恐ろしく強力になっていた。私は彼から逃げ出したが、さらに事態を悪化させただけだった。怒りで暴れる音が、渓谷の壁に響くのが聞こえた。
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ここで眠るのは難しいことだ。かつては楽しい場所、楽しい我が家だったのに。今は破壊された廃墟だ。ここで笑い合ったのに、涙を流せない機械の泣く声が遠くから聞こえるだけだ。
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どのくらいここにいるだろうか? あの哀れな壊れた魂を落ち着かせようと、何度試みただろうか? もう耐えられない。だが、当然の報いだ。
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彼を殺そうとした。安息を得て欲しいだけだったが、できなかった。私が何をしても、彼に痛みを与えるだけだ。私は呪われているに違いない。

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