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書籍

鉄くずの足止め

スラグタウンの良き保安官代理、サーコン著

正直、どうしてこんなものを書いているのか、自分でも分からない。誰が読むの? この管轄区では、誰も読まないでしょう。もっと言えば、読む気になったとしても文字を読めるのは住民の半分もいない。この輝く街は学者であふれているけど、貧しくて汚れた人たちを救うため、古臭いスラグタウンに来た人がいると思う? 当然いない。

時々、小さい子たちに読み書きを教えている。仕事の合間に。幸せな気分になれるのは、その時だけよ。でも、彼らもすぐに仕事を見つけて去っていく。母音だとか、動詞だとか、そういう保安官代理のくだらない話に付き合う時間もなくなる。母は聖人のように辛抱強かった。だからこんな自分でも、何とか勉強を終えられた。

今ここで、正確に記録しておきたい。スラグタウンにいる、我々スクラップについて。我々は愚かではないし、怠け者でもない。こんな場所は、絶対我々にふさわしくない。あのきらめく街にいる連中の話に耳を傾けないで。あの学者たちは、自分たちが我々よりずっと上等な存在だと思っている。こっちには、危機を乗り越える知恵がある。あふれるほどの勇気、危機を避ける狡猾さ。駆り立てるものがなければ、長くは生き延びられない。

ああ、もちろん。出口はある。魔法を十分マスターして、技術的なノウハウがあれば逃げ出せる。機械にものすごく詳しい叔母がいた。何でも知っていた。中を見ただけでロボットを分解して、また組み立てられた。叔母はすぐに抜け出して、二度と戻らなかった。母を訪ねることも、一言の便りさえなかった。スラグを去ったら、後ろを振り返るな。誰も、それを責められない。ここはひどい場所よ。

ファクトタムをうらやましく思うことがある。早く仕事を終える、ちょっと指導を受ける、それで終わり! いつかそうなりたい。この道はつまらない。やっと食べられる程度で、自分が偉いと思ってる連中から施しを受ける。頭がおかしくなって当然よ。全部捨てて去りたいのも当然だけど、どこへ行く? 行き場所なんてない。街にもないし、この周りの荒野にもない。泥にまみれて、何とかやってみるしかない。

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