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書籍

大蛇の穴の観察者

ついに中に入った。数日間観察し待つ必要があったが、私は忍耐強い。昨日の黄昏時に起きた大移動にも助けられた。洞窟熊たちと一緒に全員が冒険に出かけていった。間違いなく重要なことなのだろう。

大蛇の穴の下にある洞窟の入口が少しだけ開いていて、そこから中に忍び込んだ。衛兵に遭遇することを恐れながら、曲がりくねった洞窟の通路を注意深く進んだ。だが、誰もいなかった。観察するために最適な場所を見つけた。遠征隊が戻ってくるずっと前に箱の後ろに身を隠し、物資を揃えて準備した。

噂が本当だったと報告できて嬉しく思う。ここにいるオーガたちは、確かに他に類を見ないほど賢い。物資が尽きる3週間後まで、たくさんのメモを取ろう。この愚かな戦争が終わったら、帝都にいる同僚たちに発見の報告をしよう。賞賛の拍手の音が、もう聞こえてくるようだ。

1日目: 発見されずに、観察場所に落ち着いている。オーガたちと洞窟熊たちが数時間後に戻ってきた。中にはためらって深く空気を嗅いでいる者もいるが、すぐにいつもどおりの行動に戻った。

2日目: 道具の使用と原始的なコミュニケーションを目撃した! 「ブルーク」とあだ名をつけた大きな奴が、木箱を指差して下っ端の誰かに向かって数回うなづいた。相手は明らかに嫌な顔をして、箱をつかみ、角に投げて破壊し、中身をまき散らした。ブルークはそれに喜んだようで、満足気に体を掻いた。

3日目: あの洞窟は明らかに、かつて人間が暮らしていた場所だった。おそらく帝国の鉱山労働者たちだろう。オーガたちは鉱山労働者に近づき、彼らを殺して洞窟を自分たちのものにしたのかもしれない。だがオーガたちは鉱山労働者たちが残した道具を賢く利用している。火は丁寧に扱われ、燃え続けている。皿代わりに盾を使っていることもあった。さらにオーガたちは人間の骨や頭蓋骨を原始的な楽器として使って、即興のコンサートまで開催していた。

4日目: 今日はクランの中で遊びの行動を目的した。ブルークが長い骨、おそらく人間の大腿骨をつかんで、その骨で熊の鼻を叩いてから、水に投げ込んだ。熊は骨を拾って、ブルークに返した。すぐに他のオーガたちと熊が同じように遊び始めた。クラン全体が、ほとんど1日中その遊びを楽しんでいた。オーガの中でこんなことが行なわれていることは、記録に残っていないはずだ。

5日目: 間違いない。ブルークは、このクランの知恵の源だ。記録に記したように、昨日は何度か彼が疑いの目でじっと見ているのが分かった。私が羽ペンで記録している音を聞き、奇妙なこと、おそらく危険なことだと認識しているのだろう。もし彼が調べるためにここに来たら、私は…

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