書記の館の蔵書庫が管理されてきた長い間、マグナスタイラスのための試験が一つあった。その人物の技能と才能がそのための責任と合致することを証明するための試験だ。アポクリファへの裂け目が現れたら、マグナスタイラスは中に入ってハルメアス・モラの声を聞かなければならない。 ケシャルゴとの訓練中、私は自分の能力に疑いを抱くことはなかった。もっとも強く、力にあふれ、知性があり、モラの書記となるための順応力と意欲を持つ者だと自覚していたからだ。仮に疑念を持つことがあっても、ケシャルゴが私のことを重要だと言い聞かせてくれた。私を他の書記と比較し、あからさまに彼らの欠点を指摘して私を持ち上げてくれた。私の就任はほぼ確定していて、あとはただ裂け目が開くのを待つばかりだった。 だが、その時がきても何も聞こえなかった。一言も、囁きさえも。アポクリファのすべてが静まり返っているようだった。その領域の中の私は、聴力を失っていた。静寂が私の血液の流れを止めた。まるで上から突っ込んで来る鷹に気づけない兎のような気分だった。 ああ、私は喜ぶふりをした。愚かな老人が私の就任を疑わないようにした。だが、それが何を意味するかはわかっていた。ハルメアス・モラが私たちから目を背けたのだ。彼は私たちと私たちの働きを遠ざけた。彼を失望させたか、彼が書記の館が提供するものに興味を失ったか。私はケシャルゴやマザンディのような愚か者が書記の八分儀に対して表す情熱を見てきた。知る者を怒らせるようなことは何もしていない。そこから導かれる答えはただ一つ。彼は私たちに価値を見出さなくなった。そして、私は気に掛けてくれない主人のため働くつもりはない。 話はこれで終わりではない。まったく近くにいないのに、声を聞いたからだ。呼びかけを感じる。死んだ書物と愚かな関心であふれたアポクリファの沈黙の館からではない。そう。スパイラル・スケインの光を帯びたキノコが発する声だ。隠された知識の生命の領域。死んだ本ではなく、生きた精神に情報が格納されるところ。書記が長く忘れ去られた時代の空論で停滞するのではなく、成長できる場所。 私たちの仕事は囁きの女にとって価値あるものだ。ゆっくりと書記たちを八分儀から切り離していこう。あのやり方にある誤りを示しながら。そして然るべき時がきたら、私たちの忠誠をハルメアス・モラからメファーラに移行させる。スパイラル・スケインへの裂け目は決して閉じない。新たな師から見捨てられることは決してない。私たちは彼女を通じて隠された知識を聞くことを学ぶ。真の力の秘密を。
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