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書籍

代弁者ルシアーナの日記、第2巻

日付: 星霜の月12日、第一紀2713年(?)

1年かけてよく考えたあと、クロックワークの使徒に入ることを決心した。少なくとも1年だと思う。ここの時間の流れはすごく奇妙だ。

容易な決断ではなかった。心の中で、レマン・シロディールに仕えるのをやめたことはなかった。だが今ではタムリエルの紛争が遠いことのように思える。アカヴィル、ヴァレンウッド、コロヴィア。全て遥か遠くに感じる。ここで重要なことと完全に切り離されているように。クロックワーク・シティで重要なのは仕事。論理。秩序だ。セト卿の使徒として、私は本当に貢献できる。そして心から言える。心の中のレマン・シロディールに取って代わるべき者がいるとすれば、それはソーサ・シルだと。

彼を崇拝するという考えには頭を悩ませた。その考えに対して彼がとても不快そうに見えたのが主な理由だ。私は会話がなくなるのではないかと心配した。または、私を大したことがないと考えるのではないかと。幸運にも、その知らせを告げたとき、彼は喜んでいるように見えた。

「一番良いことだと思う」彼は言った。それからマリウスの横にひざまずいて、小さな手をとった。一瞬、彼がとても遠くに見えた。ほとんど悲し気に。最終的に彼は囁いた。「君の母親は強く、賢い。君たち二人がいて嬉しいよ」

なぜかは分からないけど、こう口走ってしまった。「それで、なぜ私たちを助けたの?」

セトは一瞬ためらい、それから囁いた。「それはいつか、君が光を照らすからだ」

どういう意味かと尋ねる前に、彼は消えてしまった。マリウスはそれを見て笑った。彼はソーサ・シルが光の中に消える姿を見飽きることがない。私の方は不安を感じていた。彼の気分を害したのでなければいいのだが。

日付: 蒔種の月26日、第一紀2721年(?)

何かがおかしい。マリウスがまた倒れた。監視ファクトタムによれば、力が抜けて呼吸が浅くなり、回廊のすぐ外側で倒れたそうだ。ここ数週間で3回目だ。

最初は少し頑張りすぎただけだと思った。9歳の男の子は無理をしすぎるものだし、あの子はいつも少し病弱だった。だけど、部屋で彼を見たとき、顔色は蒼白で、声にはガラガラとした響きがあった。彼は私に何が悪いのかと尋ねた。私は正直言って分からないと答えた。明日彼を連れてファクトタム・メディカに会いに行こう。

日付: 恵雨の月9日、第一紀2721年(?)

数日間検査した後、ファクトタムと臨床医はついにマリウスの診断を下した。出産に関連する心臓の欠陥だった。どうやら、彼の出生時の状況(私の破壊された体、過度の早産、そしてベールを越えた旅)がある種の出血、あるいは動脈のねじれを引き起こしたらしい。タムリエルだったら恐らくもう死んでいただろう。いやむしろ、2回は死んでいるだろう。

私は予後診断を頼んだ。しかしファクトタムは様々な結果の見込みに触れて提供を拒んだ。彼は30歳になれるかもしれないし、明日死ぬかもしれない。いずれにせよ、彼の人生は困難で短いものとなる。私は依然として(いつになく)楽観的だ。セト卿はもっとひどい負傷を治した。そして、人々を一瞬に人生へと連れ戻した。ここクロックワーク・シティで、彼のような欠陥は到底絶望的ではあり得ない。ソーサ・シルが隔絶された場所から現れたら、すぐに願い出よう。

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