コルヴス・ディレニ著 —はじめに— 召喚とは、召喚師が自分の利益のために、生き物や物体を他の次元から呼び出すアルケインの術だ。その研究は、召喚術特有の危険性のために長きにわたって敬遠されてきた。召喚されるもので特に多いのは最も知性の高いデイドラだが、彼らは他人の命令に従ってニルンに呼び出されることに憤慨しており、しばしば召喚師に害を与えようとする。 私が安全で確実な召喚呪文の考案に成功したことは注目に値する。この成功は、召喚の魔術において主要となる2つの要素、召喚の呪文と呪縛のルーンを常に連動させる方法を定義したことに由来する。後者はもちろん、召喚されたものを召喚師に従属させることで、召喚師を守るためのものだ。 従来まで、召喚を行う魔術師は召喚と呪縛というまったく別の呪文を同時にかけなくてはならなかったため、召喚は大変危険な行為であった。呪縛の魔法に失敗するか効果が遅すぎれば、召喚師はその命で代償を支払うはめになることもあった。私の考案した呪文は、召喚と呪縛の魔法を組み合わせて1つにしたもので、召喚と同時に、必要な呪縛の効果も得られる。 見習いは付随のグリモアに記載したこの呪文の研究に没頭するよう求められる。私の方法は召喚の危険を減らすものだが、決して気安くぞんざいに試していい術ではない。不注意に術を試みる見習いは、端的に言って師匠のお荷物となるだろう。
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