新しい案内人のオリク・ジャーは、前にこのじめじめした沼のあちこちを案内した者と同じくらい苛立たしい。
目的地まで真っ直ぐ連れて行ってくれるように頼んでいるのだが、相変わらず聞き入れようとしない。
どうやら、まっすぐ行くとヴィーシュクリールの土地の中心を通ることになるようだ。
そして彼はそこを通りたくないらしい。
毎日何か新しい呪われた洞窟、侵すべからざる干潟、あるいは聖なる木の森が出て来る。
私たちがこの八大神が見捨てし場所のどこにでも行けるとは奇跡だ。
ヴィーシュクリールはゴースト族という変わった名で知られている。
真っ白な幽霊のような存在で、汚水まみれのこの土地に捨てられた水死体を回収し、彼らの聖なる木の近くに埋める。
一見すると、この魅力的な住民たちが片付けをしているだけのように思える、ただオリク・ジャーによると、彼らには「ヒストへの帰還」を阻止する力があるらしい。
この木々に興味のない私にとってはどうでもいいことだ。
それでも私は案内人について行くしかない。
どうやら彼にとっては、数十キロ遠回りしてでも回避すべきことらしい。
個人行動をするほど私は愚かじゃない。
あんなことがあった後なら尚更だ。
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