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ナリルのメモ: 悲劇からの成功

見習いガサルと私は、植物を育てられる疑似太陽光を作る過程で、壁にぶつかった。照明装置は完璧に稼働している。疑似太陽光インダクターに使用できる電源を使って産み出せるものよりも、明るく強い光を出す能力もある。もっと強い電源がないと、〈巻かれ続ける源泉〉は失敗してしまう。

* * *

数え切れぬほどの時間を試験と実験に費やした後、ガサルは疑いようのない結論にたどり着いた。我々の疑似太陽光インダクターが植物を育てるには、生命が必要だった。志願者から少量の生命エネルギーを抽出し、それを疑似太陽光の照明装置の動力にした結果、有益と思われる結果を発見した。このエネルギーで生まれる鮮明で明るい光は、これまで使ったどの動力よりも植物がより早く、よりしっかりと育った。その違いは、ほとんど奇跡的だった! だが借り物のエネルギーはすぐに尽き、作物全部が成長するのに必要な照明装置を稼働させるエネルギー量には、全く届かなかった。

かなり進展したが、本物の、持続可能な解決策にはまだまだ遠かった。

* * *

私が工房に戻ると、不安になる光景に出くわした。私が離れていた間に、ガサルは絶対に実施しないよう命じていた実験をしていた。自分自身をインダクターにつないでいたのだ。エネルギーを借りる際、どこまで借りても志願者が再生産可能か判明すれば、もっと生命エネルギーを借りられる。それが彼の主張だった。その正確な限界点が分かれば、照明装置のエネルギーが入手できる。だが、もし取りすぎれば、志願者は死んでしまう。

残念ながら、ガサルはエネルギー吸収装置の使用に熱心すぎた。彼の生命エネルギーが全部吸い出され、体には何も残っていなかった。我が見習い、我が弟子は死んでしまった。だが、哀しみに打ちひしがれるより先に、すごい発見に気がついた。これまでの数知れない試験と実験よりも、はるかに多くエネルギーが貯蔵されていた。ガサルは問題を解決したのだ! インダクターが季節の間、ずっと源泉を疑似太陽光で輝かせるために十分なエネルギーを得るには、対象の生命すべてが必要だった!

その時私は、ガサルの犠牲を無駄にしないと誓った。使徒たちが毎年新しい見習いを差し出すことに同意する限り、収穫の配給が続くことを宣言した。その見習いはインダクターにエネルギーを与え、生命エネルギーが生み出した疑似太陽光は、住民たちの食事に十分な、大量の収穫を与えてくれるだろう。

完璧な解決策だった。知識と引き換えの代償が、とても高くついたとしても。

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