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書籍

ナダファの日記

夫のギランを愛している。心から愛しているわ。でも、なぜだか私はあのよそ者に惹かれる。

背が高く青白いあの人に会ったのは、眠れないある晩のことだった。ギランが静かに寝息を立てている寝台を抜け出て、分厚いローブを着こんで夜の外気にあたるため外に出たの。そこで暗闇を見つめていると、彼と目が合った。木によりかかり、陰に溶けこんでいたけれど、視線を感じたわ。孤独みたいだった。熱望。空腹。恥ずかしくて一瞬目をそらしたら、次に見た時、彼はもういなかった。

昨晩姉妹のところで夕食をとって家に戻る時、また彼を見たの。私を見ていたわ。最初は怖かった。ギランにこの厚かましいよそ者のことを言おうかと思ったけれど、なぜかできなかった。

この何週間かであの青白いよそ者を何回か見たわ。ギランが私の気持ちを知ったら、すごく怒るでしょうね。でも彼が心配するようなことは何もない。あのよそ者が私の好奇心をくすぐっているのは認めるわ。あきらかに彼もそれに気がついてる。それでもただの妄想なの。それだけよ。

* * *
青白くハンサムなよそ者は、夢の中にまで出てくるようになって眠れない。また会いたいの。でもどうやって? 名前さえ知らないのに。ああ、どうしてこんなことになったのかしら。ギランが今夜ノースポイントの番に行ったら、家を抜け出てあのよそ者を探してみようかしら。彼の暗く深い瞳を見つめて、冷たい唇を私の首筋に感じて…

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