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書籍

致命的な予感の鏡

タンディファエの遺言
- 遺物マスターグレナディルによる複写

起きた。起きた、起きた。傷だ。頬に傷、傷がある。頬にあって、自分にはもうじき最期が訪れるのだと分かる。死ぬんだ。

あんな鏡を見るべきではなかったのだが、好奇心に勝てなかった。年老いた男が見えるだろうと思っていたが、自分を見つめ返した目は同じだった。わずか80才で自分の死を見つめ返していた。唯一の違いは… 頬にある傷だった。

気をつけているつもりだった。剣術もせず、何にも乗らず、激しい活動は避けた。それなのに昨日、市場で、敷石につまずいたのだ。こともあろうにあんなものに! そして今ではそこに傷があり… 死ぬことになる。鏡は知っていて、見ていて、これが死の証だ。

家族には、とても愛してると知っておいてもらいたいが、運命からは逃げられない。少しでも常識があるなら、あの鏡を破壊してくれ。自分まで破滅させられる前に。

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