デフェサス・レクター著 バルダスへ 今日の講義は、仕立屋が中装鎧を作製する際に使用する革となめしについてだ。夜警を抜け出して父親の武器屋にこもっていることだし気付いていると思うが、中装革には多くの種類がある。ブリガンティンは丈夫で装飾が施されており、ランニングは丈夫でありつつ柔軟性も備えている。このような性質の違いは皮やなめしを変えることで生まれる。 なめしとは、職人が中装鎧の丈夫さと弾力性の均衡を保つために使用する「添加物」のことだ。胸部の革は、アサシンのナイフが貫通しないように板と同様の堅さにすることもできるが、あまりに堅過ぎると着用者は体を曲げられなくなる。だから防具屋は革や織物になめしを使って、丈夫さと柔軟性をうまく両立させるのだ。 これと完成した鎧一式の見た目とはどんな関係があるのか? その口髭の自慢で洗い場の召使の気を引く妄想をするより、講義でそういう疑問を持ってほしいものだ。答えは、すべてが関係している。そのうち自分で分かる。さあ、父親が見本として買った堅い革に取り掛かれ。それが終わるまで洗い場の召使に色目を使うのはやめておけ。
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