卵の姉妹へ 雨が石を叩く中、これを書いています。雷が聞こえるのに、空に稲妻は閃かない。じつに奇妙な嵐です。 本当はマッドツリーを通りたかったのだけれど、悪天候と旅の困難から、仕方なくオルテン・コリモントを抜けることになりました。ヒスミールに着くまで手紙を書けるとは思っていなかったので、遠回りすることになって却って良かったと思っています。 嵐が強まってきました。暗闇にうごめく怪物たちの話をしている者もいますが、私に言わせれば的外れです。ここらの怪物たちは浅瀬で息をひそめて獲物を待ち受けます。草むらをかき分けて襲いかかってくることはないし、夜空に向かって吠えることもありません。シシスが私たちをお召しになるなら、その近づく音は聞こえないでしょう。 まぶたが湿った木の枝のように垂れさがってきました。もう休まなければ。ティーマタによろしく。あなたの行く道が実り多く、太陽の接吻を受けるものでありますように。 潤いを保たれますよう。 オリーンラ
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