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司法高官アヴァナイレの日記

サロシルが言っていた。借金取りたちが怒っているみたい。何とも愉快な状況ね。妹が帰ってくることをいつも夢見ていたけど、妹が帰ってきた今は悲しみに満ちている。妹は問題ばかり持ち込む。でも見捨てられないわ。今は無理。しかも妹は助けを求めている。

妹は何かやっているかもしれない。妹にこんなことは言いたくないけど、スクゥーマはエルフを変えてしまう。妹の面影はほとんど残ってなかった、とても痩せていた。骨張った指で私のスカートを掴み、しわがれた声で助けを求めてきた。妹を信じたい。彼女が幸せに生きられるように助けたいわ。でも… 無理よ。今はまだ。

だからといって、迷ってはいられない。妹は危険な人物に借金をしている。妹を見捨てればテルヴァンニの魔術師に売られるか、見せしめに殺されるかもしれない。そんな危険は冒せない。

問題は神聖執行局よ。裏取引をすれば信用に傷が付いてしまう。サマーセットには賄賂を喜んで受け取るような愚か者はいない。疑り深いのよ。認めたくないけど、サロシルが見つけた仲介人しか選択肢は残されていない。彼らが真珠を使って何をしようとしているのかは知らない。でも他に選択肢がある?

計画どおり、テロムレ隊長の部隊に潜り込んだ。動くのはトー・ヘイム・カードに近付いてからよ。そこで仲介人が私を待っていてくれているはず。そこについたら隊長に奇襲を仕掛け、真珠を奪い、彼にはそのまま死んでもらう。サマーセットの兵士なら、きっと私を遺跡まで追いかけてくる。そうしたら… 仲介人が面倒を見てくれる手はずになってる。永遠にね。

真珠は山賊に奪われたと報告する。しかもその話を否定できるエルフは、その頃には全員死んでいる。全て上手く行けば、私の立場は安泰よ。もしかしたら、勇気を讃えられて昇進する可能性もある。そしてサロシルは必要なお金を手に入れる。そうなれば妹は安全よ。

これは妹のためにやる。昔と違ったとしても、妹は私に残された最後の家族よ。妹は私が守るわ。どんな犠牲を払ってでも。

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