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書籍

クランウェの日記

ネードとアイレイドの和平を夜明けと黄昏の女王の従者が仲介する試みは、的を射ているようだ。彼女の王国は時の狭間、地の狭間、そして現実の狭間にある。互いを忌み嫌う二つの国の民が和平を求めるにあたって、私が力になれれば少なくとも定命の地にいる間に何かを成し遂げたことになる。アズラの導きを感じ彼女の力が流れ込んでくるが、今必要なのはその知恵だ。

南中の月23日

アズラの知恵が必要だと言っただろうか? いや必要なのは彼女の忍耐力だ。不死の者のみが、この… 者達に耐えられる! ネードとはよく名付けたものだ。そう、彼らはアイレイドによって長年束縛され、苦しめられてきたが、今日生存してその苦しみを直接覚えているものはいない! 彼らの訴える賠償は増える一方だ。アイレイドの思い上がり以上に。今すぐにでも彼らは交渉を打ち切り、不安定な平和から完全な戦争に突入するかも知れないと感じている。

ああ、アズラよ――私に彼らと話をさせないでくれ! 私の声の力は彼らの現実を変えられるが、それは感染した傷口に当てる包帯だ。真の変化のみが、人々の怒りを鎮められる。

南中の月27日

最悪の事態が起きた。アイレイドの一人が死んだ。使者が使い走りの途中で殺されたのだ。アイレイドはネードを疑い、ネードは否定しない。むしろ彼らは立腹している… 一人の使者の死は彼らが耐えた長い苦しみとは比較にならないかの如く。状況は良くならないだろう。私の声が唯一の解決策になるかも知れない。

南中の月29日

茫然とした。確かに声を使ったが… 紛争を妨げるためにほんの少し現実を調整しただけだった。真の奇跡は一人のネードともう一人のアイレイドからやってきた。ともに交渉の経験はなかったが、手を取り合って殺害された使者の謎を解き… 罪人はネード、アイレイドのいずれでもないことを発見した! モラグ・バルの従者が犯人で、奴の目的は和平交渉を妨害することだった!

二人の英雄は私にできなかったことをした。共通の敵を前にしてネードとアイレイドを団結させた。二つの国の民が抱く敵意は消えたことだろう。

収穫の月2日

二人の英雄の結婚をもって仲たがいは終わった。しかしモラグ・バルが妨害せずに終わらせるとは思えない。私は答えを探すだろう… アズラの名においてこれらの民を守る方法を。私が生きる限り今日皆がここに創り出したものを魂の収穫者には触れさせない。アズラよ、力を与えたまえ。私が世界にいる限りこの声でそれを変えさせたまえ。

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