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書籍

ハスクと骨

ソレクシウス・レントゥルスの日記

栽培の月12日

ボスがどこかのウッドエルフから地図を買ってきて、今まで見た中でエルデンルートまでの最短ルートが示されていると言ってる。他のやつらより早くそこに木材を輸出できれば大儲けできると考えてるようだ。契約があるだか何だかで、ウッドエルフは自分らの木を伐採しないそうだ。木と契約とは笑えるな! バカエルフどもめ。金が用意できるなら、品を持って行ってやろう。あっちの方には誰も行ったことがないが、いつものエルスウェアのルートと違ってきっと新鮮だろう。陽射しの強さにも嫌気がさしてたところだ。

栽培の月18日

エルデンルートには気持ちいいベッドがあるといいな。あと、虫が少ないと助かる。こんなにたくさんの虫を見たのは初めてだ。手ほどの大きさのある甲虫に、何本足があるのか考えたくもないようなウネウネしたもの、しかも噛まれるんだ! 動きを止めた途端にもう体中を這いずりまわっていて、かゆくて夜も眠れない。村のようなところも通っていないし、荷馬車を通すために道を切り進まないといけない。そもそもこれが本当に道なのかどうか怪しい。まるでずっと誰も通っていないかのように草木に覆われている。

栽培の月24日

昨夜、故郷のルースティング・クエイルにいる夢を見た。大好きな酒場だ。あんなうまいエールは飲んだことがない。談話室でマクシンティウスが面白い冗談を言って、俺はエールを噴き出して笑いが止まらなかった。すると目覚めたんだが、笑い声はやんでいなかった。叫ぶような甲高い笑い声が木々の方から聞こえてきた。あの難しい名前のアルゴニアンの護衛が見張りをしていたのだが、彼は何も見なかったそうだ。辺りを調べたが笑い声は止まり、結局そわそわしながら火のそばに座った。フリンの入ったフラスコを口まで運ぶと、じたばたする足の感触があった! 口の中でだぞ! 他のみんなのフラスコや服にもたくさん入り込んでいた。アカトシュよ、怒りの炎を!

真央の月2日

事態はおかしくなっていく一方だ。みんな早く終わらせたい一心で今日は倍速で切り進んでいたのだが、先の方に大きなクワガタがいることにマクシンティウスが気付いた。ただの大きい虫じゃない、巨大な虫だ。狼ぐらいの大きさだった。凄まじい大きさのハサミに、光沢感のある甲羅。ただ歩いているだけで特に何をしているわけでもなさそうだったが、遠くからでは分かりにくかったのでゆっくり近づいた。石を投げたら当てられるぐらいの距離まで近づくと、何かがおかしいことに気付いた。脚が、まるで人間の脚のようだったのだ! いや、人間の脚だった! その瞬間奴らは急に立ち上がり、笑いながらこちらへ走ってきて、野営地から物を盗って木々の中へと消えていった。追いかけようとしたが、アルゴニアンの放った矢も甲羅に当たって跳ね返ってしまった。あいつらはウッドエルフだったのか? かなり野性的なのもいると聞いたが、虫の恰好なんてするか? 盗賊というわけでもなさそうだ。誰も傷つけず、ほとんど何も盗っていかなかった。

真央の月4日

もうたくさんだ。引き返す。エルデンルートまでたどり着ける気がしないし、誰だか知らんがたどり着いてほしくないらしい。どれだけ金を積まれても割に合わない。こんなところにいるくらいならカジートと値切り交渉してる方がましだ。今回は水に薬を盛られた。そうに違いない。誰が何をどうやって入れたのか分からないが、真夜中に目覚めたときにはガイコツがキャンプファイアの周りで踊っていた。動けなかったがぼんやりとした視界の中で見た。変な音楽の中でガラガラ、シューという音や、歪んだ低温のフルートが聞こえた。奴らは骨を着ていたのか? はっきりしていることは一つだけだ。利益など糞喰らえだ、我らは引き返す!

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