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書籍

偽顔の扇

代弁者ギルザロンの手紙
- 遺物マスターグレナディルによる複写

リジケー、この仕事を任せられると信じているから、この警告のせいで思いとどまったりするな。この品の使用を許したのは数年ぶりで、とても強力だ。だがお前の標的は簡単ではない。マグニフィコ・ナドブシャールは自分の命が狙われてることを知っていて、深く恐れている。

必要な品は持っているし、ナドブシャールの側近を捕らえるのは楽なはずだ。扇の魔法は被害者が生きていないと効かないから、彼女は生かしておけ。扇を広げるのは、必ず二人きりになってからにすること。お前たちの顔の間に持って、折れ目の中をじっくりと見つめるんだ。次にまばたきをする頃には、側近イムラサーの顔になっているはずだ。

この段階では特に時間が大切だ。扇の効果はゆっくりだが、一定している。すぐ不快に感じるだろうが、訓練のおかげで乗り越えられるはずだ。しかしゆっくりと夜が更けるにつれて、真の姿は消えていく。イムラサーのように考えるようになり、自分はイムラサーだと信じるようになる。朝の光が訪れる前に、変身は完了しているだろう。そうさせてはならない。

飲み物に毒を入れてナドブシャールに渡し、祝宴から立ち去れ。イムラサーのもとに戻って、もう一度扇を使え。こうすることでのみ、自身を維持できる。そうしないと、お前は王家の側近の体の中で永遠に失われる。私に言わせれば、死よりもひどい運命だ。

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