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書籍

歩兵隊のブリーフィング: アレンシア

イウニウス・オセラ百人隊長著

我が隊は2週間以内にアレンシアの占拠にかかる。確実に作戦を成功させるため、全兵士が対象の街や市民について知識を身に着けておく必要がある。準備なしに侵入すれば、何が起こったのか分からないまま、金品を好き放題に強奪されるかウッドエルフの矢に体中を貫かれるだろう。何年かの間、アレンシアからスキングラードへ移動中の隊商を護衛していた経験のある私なら、個人への危害や不必要な住民への挑発を防ぐための情報を提供できよう。

見慣れた雰囲気の建物に安心してはいけない。この街は我らの故郷とは全く違う。ストリッド川の北からコロヴィアの商人がいくらか移住しているが、南から来たウッドエルフや東のサバンナから来たカジートの方が多い。過去にこの街の所属する国は風のごとく変わり続けていたこともあるが、カジートの薄っぺらい小屋やエルフの間に合わせ的な木の家に比べてコロヴィアの石は長持ちするし、現に持ち応えている建物はほとんどがそうだ。

多くのウッドエルフやカジートと遭遇することになるので、彼らの文化や習慣について大まかに把握しておくと役立つだろう。ウッドエルフは植物や木が危険にさらされていると感じると理不尽なほど攻撃的になる。伐採すべき木があるのであれば、上司の許可を得て武装した分隊を編成すること。加えてウッドエルフは酒好きで、普段も悪い口が酔うとさらに悪くなる。一言助言がある。どれだけ冷やかされても、エルフと飲み比べ勝負をすることのないように。

カジートは人口の大きな割合を占めるが、永住権を持っている者は少ない(基本的にどこでも持っていないが)。この月の信者たちは集団で動き回り、甘ったるい飲料やけばけばしい織物を市場に持ってくる。よくこの手の隊商と一緒にいる娼婦に話しかけられた際は注意すること。必ずといっていいほど泥棒で、やられたと気づいたころにはデューンまで半分逃げられている。

関連事項として、使われなくなった街の神々の聖堂を拠点に、スクゥーマ泥棒のグループが活動しているかもしれないという情報が入った。これは神々への侮辱であり、我々の支配が確立され次第調査にあたる。噂が本当と分かればクズどもを掃討するが、その際聖堂で盗みを働くようなことは絶対にないように。そのうち聖堂の本来の栄光を復活させる。

諸君の仕事は、我々のアレンシアの支配体制が厳格であるよう努めることだ。戒厳令を敷き、可能な限り平和を保ちつつ、騒乱になりうる事態はどんなものであれただちに鎮圧すること。この街に「昔からの」領有権など存在しないことを忘れないように。1人でも多くの兵が立っている側の旗の下で統治される。それは我らの旗となるだろう。

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