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書籍

セランの日記

こんな場所なんか消えてしまえ! 父さんはグラーウッドを出発した時、ここサマーセットで富と祝福が見つかると言った。ハッ! 横柄な足長どもから、犬扱いされるようになっただけだ。

ブドウ園の労働は意味がない。貰える金はごくわずかだ。これでは生活できない。昔のように狩りをしても、鹿は怖がりだし痩せている。ここの獣は呪われているんだ。収穫は1口分の肉と、もろすぎて道具にならない骨だ。

ファリルがいなかったら、ここには耐えられないだろう。イフレに誓って、あれほどの美人は見たことがない。バターチェストナッツのような丸い目、白鳥の首、狼の歯のように鋭い耳。ここに記しておこう。僕はあの少女と結婚する。彼女の気が引けるなら、ここにも価値はある。

* * *

ハリモリオンの獣め! 昨夜ファリルが泣いてやってきた。あの好色な男に尻をつかまれ、二又の舌を口に入れられるところだったって! 僕は宣言する。あの雑種の頭は、年の瀬までにシチューの具にしてやる。

* * *

信じられない。ズェンに祈りが届いたんだ。狩りに出ると、緑の亡霊に出くわした! 本物の緑の亡霊だ。昔ハイエルフが逮捕した偽者じゃない。革、弓、矢筒の一式を渡されて、同じやり方で殺せと言われた。嘘みたいだが本当のことだ。僕は緑の亡霊! 復讐を果たす!

* * *

ハリモリオンを殺せば心が晴れると思ってた。ファリルの傷を癒し、正義をもたらすと思った。でも今は… 本当に悩んでいる。泥の中で苦しむ奴を見下ろすと、胸がズシリと重くなった。息もまともに吸えなかった。やめとけばよかった。母さんが知ったらどう思うだろう? 許しを乞うために頭を使おう。赤の聖堂で許しを乞えるかもしれない。今から向かおう。

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