厄介な獣

私のように高名な者がこんなところに座り込み、疲れ果て気落ちしていることが驚きか？ しかもよりによってニルンで

今日はショーを開かない。娯楽はお預けだ。逃げ出した下級デイドラたちがうろついている限りはな

ポータルの呪文を戻さねばならない。私の獣たちの素晴らしさはここで活かされないしな。ファーグレイブでのショーを取りやめるわけにもいかない。それに、獣たちはどちらかといえば破壊的なんだ

定命の者よ、5匹の獣を連れ戻してくれ。報酬は提供できるだろう

獣たちを連れ帰るには私の笛とコンパスが必要だ。コンパスは獣の居場所を示し、私はそれを通してお前と話すこともできる。獣の近くで笛を吹けば、獣は私のところに戻ってくる

この近くの丘にある私の持ち物から、道具を探してくれ

それなら得意だ。プロクンの興味深き動物園のオーナーとして、私はどんなデイドラ公や主にも従わない。故郷と呼ぶ次元もない。私の獣たちを見たいと願う者がいる場所なら、どこにでも行く

私の種族は自らの内なる本性が命じることだけに従う。私はずっとショーを開くための獣を集めてきた。ただ、下級デイドラに絞ったのは最近だ。その前はアンデッドだった。うーむ… 次は定命の者にすべきだろうか？ いや、そんなもの誰が見たがる？

プロクンの興味深き動物園。それは私の集めた獣たちの独特の能力と、その比類なき価値を見せる場所だ

相応の力を持つ存在から召喚を受ければ、獣たちを転送し、他では見られないショーを披露するのだ

私が詳細を解説しながら、獣たちを1匹ずつステージに上げる。観衆は堂々とした獣たちがあり余る力を示すさまを、感心して眺める

その後、私が1匹ずつ倒していくところを見せるのだ

当然だ！ 観衆にも大人気の演目だよ

ああ、懸念はわかったぞ、定命の者よ。獣たちがデイドラだということを忘れるな。みんなすぐに戻ってくる

芸？ いいや、ニルンのサーカスとは違うのでな。我が種族は定命の者を悩ませる、歓喜や想像力といった危うい感情を持たない。娯楽のために芸など必要としないのだ

そうだな… 私がデッドランドにいた頃のデイドラット、オブリビオンの各地で集めた精霊が数体、特別生意気なサソリなどだ。あらゆる種類を揃えている！

すぐに会えるだろう。もしかしたらあいつらの危険な潜在能力を、個人的に見られるかもしれないな

どちらもデイドラ特製の強力な道具だ。正直、使うのに必要な知識を定命の者の精神が保持できるのかわからないが、まあ試してみよう

まずはどちらについて知りたい？

ヌシザタというズィヴィライの召喚士が、私の動物園をたいそう気に入って、贈ってくれた物だ

獣に聞こえる場所で吹けば、ポータルが開いて私のところへ連れ戻してくれる。獣の意思とは無関係にな

そのコンパスは、口に出すのもはばかられるいくつかの災難の後に作らせたものだ

それぞれの獣の居場所を直感的に把握でき、私とテレパシーでつなげることもできる。笛が獣の届け先を特定できるのもこれのおかげだ

そのとおりだ。それを持っている間、お前と私はテレパシーでつながる。だから必要に応じて、私はお前に話しかけることができるのだ

あまり気は進まないがな。定命の者の思考はバネキンに似ている。だが、お前が相手なら面白いこともあるかもしれない

それは結構。ならば、私の獣たちを探す術はもうわかったな

では早く行け。それともまだ聞きたいことがあるのか？

コンパスを握りしめてみろ。私の獣たちがどこにいるか教えてくれるはずだ

よし、見つけたな。コンパスは獣たちの居場所を知らせてくれる。笛の音は獣を私の元へ呼び寄せる

さあ、使ってくれ。獣たちを見つけてくれれば、ショーを続けられる！

平凡なコンパスとは違うだろう？ それがあれば、獣たちがどこにいるかわかる

よくやった。これでコンパスがお前を獣のところへ導くだろう。見つけたら笛を使って、私のところへ送ってくれ

獣が逃げ出したのは、不幸にもこれが初めてではないのだ

あれはここで一体何をしているんだ？

思い違いかしら？ それとも… はしゃいでる？

あいつに釣り竿を盗まれたの！ 新しいのを買うのに、何匹魚を売らなきゃならないかわかってる？

もう少しで大物が釣れるところだったのに、この怪物が波を巻き起こしながら岸に突っ込んできたんだ！

タロは頭のいい精霊というわけではないが、水遊びが大好きだ

割に合わない！ ブラックウッドなんかに来なきゃよかった！

グーブ！ あの定命の者はお前が来た時には死んでいたんだろう？

勇敢なバーズソは危険な両生類との戦いを本当に楽しんでいる。だが、もう家に帰る時間だ

ロキが他の獣に火をつけると盛り上がるが、それは我々のショーのために取っておくべきだな

これでお前はスル・ザンのものだ、忌まわしい獣め

かわいそうに、疲れ果てている。奴らは本当にこの子をいじめたに違いない。サリアスは暴力を嫌う

よくやったぞ！ これで全員だ。私のところに戻ってこい、仕事を終えるとしよう

戻ったか！ よからぬ定命の者の話も、すべてが真実ではないようだな

よくやった。獣たちが無事に戻ってきたとなれば、当初の予定どおりファーグレイブに向かえる

残念だが、まだお前の助けが必要だ。私のポータル呪文はうまくいくはずだが、予測がつかない

計算に誤りがあるかもしれない。私は娯楽の提供者であって、本職の魔術師ではないのだ。即興で呪文をいじるのは得意ではない

ポータルを開いて獣たちをファーグレイブに送る時、特異点が発生するかもしれない

コンパスを頼む。もし詠唱中に特異点が発生したら、コンパスを使って修復するのだ。私はコンパスにリンクされているから、逸れた力を私に差し戻せる

ただ特異点に向かってコンパスを掲げればいい。そうしたら私が修復する

ではすぐに始めよう。ああ、離れないでくれ。ポータルの魔法は極めて簡単か、非常に複雑かのどちらかだ。世界の気分次第なのだろうな

大丈夫だ、できるぞプロクン。まずはファーグレイブを思い浮かべろ。冷たい灰の岩、素晴らしい空、マダム・ウィムの滑らかな声…

まずいな。特異点の近くでコンパスを掲げてくれ。修復する！

ポータルは開いたが、不安定だ。コンパスを掲げてくれ！

いいぞ！ もうすぐ完了だ！

いい加減にしてくれ。裂け目を閉じるんだ！ 指に気をつけろ

終わった。ようやくだ

ああ、これでよし。獣たちはファーグレイブに向かった。私もすぐに後を追う。プロクンの興味深い動物園は予定どおり公演する。お前のおかげだ

私は定命の者の力を過小評価していたのかもしれないな

ああ、そうだな。マダム・ウィムにいい印象を与えたい。彼女から高い評価を得られれば、オブリビオン中の権力者が私の扉を叩くだろう

さあ、報酬だ。獣たちにも、うまくやったら褒美を与えている

この不愉快な次元にはポータル魔術を乱す何かがあるに違いない。うん、そのせいだ

力が戻ったらここを片付けよう。それからファーグレイブまで転移する。これ以上、私のことは心配しなくていい

お前は有能だな。私のショーに加わるつもりはないか？ ふむ、なさそうだな

重要どころではない。獣たちがファーグレイブにいれば、ついにマダム・ウィムのために公演ができる。オブリビオン広しといえども、娯楽界で彼女以上の影響力を持つ者はいない

彼女の一言が事業の成否を左右するのだ

サングインの歓楽の領域に立ち寄る予定がある。彼は常に新しい娯楽を探し求めている。喜んで提供しようではないか

特に殺戮ショーは、きっと彼らの独特な嗜好を満たしてやれるだろう

間違いない。あれは名声へと続く道の、些細な障害だった。もう二度と起こりはしない

わかってくれていると思うが、この件は誰も知る必要はないぞ。単なる不運で、私の評判に傷をつけることもあるまい！