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書籍

善意の死霊術は存在する

アンドーンテッドのイ・ザレ著

死霊術という言葉を聞いて、最初に思い浮かぶことは何だろう? 動く死体、怒り狂った亡霊? 確かに死霊術とはそういうものだが、それはこの流派のほんの一部でしかない。実際のところ、あなたが死霊術について知っていることの大部分は偽りと迷信で成り立っている。これを読んでいる人の多くは、すでに日々、死霊術と関わっている。広く実践されている付呪の技に欠かせない魂石は、死霊術によって作られている。深手を負い、死ぬほどの病にかかって治癒師に死の淵から救ってもらったことがあるなら、あなたは死霊術の恩恵を受けている。死霊術は破壊魔法と比べて、より善でも悪でもない。全ては用法次第だ。

悪意のある死霊術師は霊魂をその意志に反し、力づくで我々の世界へと引きずり込むだろう。私はただ道を開き、誘い掛けるだけである。私はしばしば愛し合う者たちをわずかな時間再会させ、謎を解き、眠れぬ霊魂の未練を断ち切らせるためにこれを行っている。祈りや式典は生者にも死者にもそれなりの慰めをもたらすが、死霊術は良くも悪くも両者に力を与えられる。魔術師ギルドはこの実践を忌避するのではなく、規制すべきだ。死霊術を影に追いやることは善意の実践者を追放し、悪意を持って研究する者の姿を隠すために役立つのみである。

世界にこれだけの戦争と死が蔓延している今、未だ生にしがみついている者、生から解放された者を手助けする知識は、かつてないほど必要とされている。

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