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書籍

予想外の守り

盗賊は控えの部屋の暗い隅で待ち、観察していた。彼に注意を払う者はほとんどいなかった。神経質な貴族が1人、少しの間彼を見つめていたが、盗賊が探しているのはこの男ではなかった。しばらく後、控えめな出で立ちの商人が盗賊に近づき、巻いた羊皮紙を彼の手に滑り込ませた。盗賊は鮮やかな手つきで羊皮紙をシャツの袖に滑り込ませ、男に軽くうなずいてみせてから酒場を出ていった。

セクンダの光の下で、盗賊は巻物を広げその上に目を走らせた。黄ばみがかったページには頑丈そうな塔の見取り図が描かれており、すべての入口と出口、さらに塔の最上階に隠された、彼の獲物である小さな宝箱の位置も印づけられていた。街外れをゆっくりと歩き回っている間、夜の女に声をかけられたが、彼の頭には別の宝物があった。

塔は暗く高くそびえ立ち、周囲の木々に不気味な影を投げかけていた。盗賊が塔の外側をよじ登り、入口に使うつもりの上窓にまでたどり着くのに長くはかからなかった。彼はあっさりと窓をすり抜けて中に入り、暗闇の中で一旦しゃがみこみ、耳を澄ませていた。すると突然、部屋全体が火によって輝いた。炎のボルトが彼目がけてまっすぐに放射される。「シェオゴラスの歯め!」 彼は呪いの言葉を叫びながら脇に避け、火のボルトを間一髪で回避した。魔術師がいるとは、予測していなかった。

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