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書籍

詐欺師の謝罪

著者不明

かなりの額を払って購入した剣を家に戻って振ったら刀身が飛んでいったことがあるか? 頭にきたに違いないだろう! 魔法の剣と説得した口の達者なくそ野郎を探しに、おそらく激怒して市場に戻るが、露店がもぬけのからだって分かっただろうな。

俺みたいな奴から武器を買ったから分かるんだ。

そのとおり、俺は手に入れられる最も粗悪な偽物の商品をお前みたいな者につかませていた。弟子の偽物を買ったり、錆びた家宝を質屋で見つけたりして、英雄になるデカい夢以外にはあまり考えのない奴らから金を稼いでいた。そんな日々とは縁を切った。間違ったことをしたし、償いをしたい。だから知識を少し授けることにする。

最良の助言は信頼できる鍛冶屋から武器を買うということだ。あまり見栄えはよくないかも知れないが、派手なものは必要ない。俺は大量のドデカい両手剣を怖い目をした若者達につかませたが、穏当なものから始めるのがいいだろう――シンプルでしっかりした片手剣だ。戦士の優秀さは武器による。バラバラになるものを使っていては何も学べない。

市場の露店にどうしても行きたいのなら、まず武器を手に取ることだ。まず近くの柱で試し切りをせずに買うのは絶対ダメだ。商人が触らせずに言い訳を並べ続けるのなら、何かを企んでいる。

俺は気まぐれな動きや感傷的な作り話をして客達の気をそらすのが得意だった。近頃は貴族の騎士の未亡人がもう本当につらい状況にあってなんとか暮らしていて、俺は親切心の有り余る商人だから騎士の古びた剣の利益すべてをともかく彼女に渡すつもりで、一人では市場にやってこれない優しい老婦人に誠実なことをするんだ、なんて話をすれば、誰かをだましてペテンにかけるのは本当に簡単だって驚くだろう。

こうはなるなよ。おしゃべりは無視して武器を手にしたら、錆の上に塗られている痕跡をチェックしろ。刀剣の柄または斧の柄を慎重に調べるんだ。金属が他の物質と接触するところで粘着物の形跡を探せ。宝石がちりばめられている派手な武器はよせ。ガラスの偽物と宝石の区別が多分できないだろうから。一番優秀な詐欺師はほんの少しだけ幻惑魔法の知識もあるから、あると思っている魔法特性を疑って数分以上は品を調べるようにしろ。

ここまでで片手剣に何を求めるべきか十分分かったはずだ。そしてトリックに引っかからないことを祈る。過去に俺がだました者達について申し訳なく思っている。そして市場やトレーニングでの幸運を祈っている。

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