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書籍

挑戦者の思索

散々懇願した結果、チューターのリパリウスというファーヌイヘンの助手がここへ来ることを許可してくれた。一人で自分の思考と向き合える場所がほしいと頼んだのだ。色々と耳にしたアリーナの挑戦を受けて立つ前に、精神統一ができる場所だ。それで、この男爵の広間で一息つくことを許された。これはとても名誉なことだから、敬意を示して感想の記録以外は何も残すなとチューターのリパリウスにはっきりと言われた。アリーナの挑戦で何が起ころうと、私ことヌヌリオン・アランはベドラムのベールにいた。

ここはとても静かだ。それでも、どこかタムリエルの荒野にいたときのような不安を感じる。静寂は危険の、捕食動物の襲撃の兆候だ。だが静寂がさらなる静寂の先触れであるこの広間でそんなことは起きない。この紙の上になら、最初は恐怖にかられたと認めることができる。死と戦ってファーヌイヘンを感心させる準備はできていた。少しだけ、集中できる時間があれば助かるだろうと思ったが、こんな不自然なほどの静寂の中にいると、自分の準備やルーティンに疑問を感じてしまう。

だが疑ってる場合じゃない。ファーヌイヘンが招いてくれたんだ。私は求められてるし、力も満ちてる。それだけは何があっても覚えておかなければ。それでも、もう少しここで過ごしてもいいかもしれない。静寂が気にならなくなるまで精神と呼吸を整えるために。それがこの先に待つものと対峙する準備が整ったことを示す合図になるだろう。

私に準備ができ、彼らも私に対抗する準備ができたら、アリーナに立ち向かおう。それまでは男爵の広間に座り、めったに見られない領域を観察しよう。

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