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書籍

ウッドハース: ポケットガイド

ファリネスティが姿を見せなくなってから、ウッドハース以上にウッドエルフの性格と歴史を余すところなく示している都市はない。

ヴァレンウッドの南西岸に位置するウッドハースは、もともとは帝国の入植地であり、最初はつつましい街だった。その地域に点在するウッドエルフの集落との交易を促進する目的で時の皇帝が建設し、歴代の皇帝が維持してきたのである。

にぎわう港町であると同時にヴァレンウッドの自然の脅威から人々を守る砦でもあったウッドハースに対する近在のウッドエルフの反応は、好奇心と友好的態度、それに敵意が入り交ったものだった。

敵愾心の強いボズマーが防壁に攻撃を仕掛けてきたことも一度や二度ではない。その内の何度かは、強力な破壊魔法を集中的に浴びせることで、防壁の一部を崩落させることに成功している。もっとも、せっかく防壁を破壊しても、帝国軍の粘り強さと優れた装備の前に、結局は撃退されてしまうのが常だった。

やがて、ヴァレンウッドのグリーンパクト・ボズマーとの間でついに和平が結ばれる。すると、ほどなくしてボズマーの集落が出現し、帝国の建築物の数を上回るようにさえなった。ウッドエルフが自分たちの住む森との間に結んでいるあの特別な関係の賜物として、ボズマーの集落の特徴である木の家や歩道が生まれたのである。

ボズマーが帝国を助ける勢力になったことで、ウッドハースの統治は徐々にウッドエルフ自身に任せられるようになって行く。樹の従士が置かれ、インペリアルの建設した区画こそさびれはしたが、全体としてウッドハースの街は栄えた。

それから一世代の内に、ウッドハースの樹の従士の評価は高まった。揺るぎない指導力を発揮し公正な裁きを行うという評価が、ウッドエルフのみならずその同盟者たちの間にも定着したのである。

この原稿を書いている現在、ウッドハースの樹の従士はファリエルであり、彼女は樹の従士としてのみならず、創設間もないアルドメリ・ドミニオンのアイレン女王の元、サルモールのメンバーとしても統治を行っている。海辺の聖域と共にヴァレンウッドの主要港の地位を保つウッドハースは、今やありとあらゆる種族が住む、種族のるつぼと言っても過言ではない。

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