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書籍

ヴォレンドラングとは何か

グロワー著

ヴォレンドラングは歴史上最も悪名高い神話世界のアーティファクトだ。これまで記述されたどの説明についても、それぞれの説明が同じものを指しているのかどうかも含めて学者達の見解は一致していないが、それはデイドラと同様ドゥエマーとも文化的な結びつきがある。

研究者達はヴォレンドラングと呼ばれるあるアーティファクトがローケン・クランによって造られたドゥエマーの遺物だと考えている。それは首領の武器であったし、同時に家紋として戦場に持ち込まれたものであり、ローケンがチャイマーとドゥエマーの第一公会議への参加を拒否したのをきっかけに有名になった。残りのドゥエマーが彼らを些細なことで見捨て、ローケンは彼らとともに留まることが不倶戴天の敵であるチャイマーとの同盟を意味するようになると、彼らの元を去ることにした。

そしてローケンの首領はヴォレンドラングを空に投げ上げ、それが地に落ちた場所がどこであろうとそこを故郷とすると誓った。こうしてヴォレンドラングは放浪の身となったローケン・クランの導きの光としての役割を果たすことになった。投げ上げられた槌は、獣のような咆哮を上げて空を横切っていった。昼間は2つ目の太陽のように、夜は月々の姿を映して、ローケンを大陸の反対側へと導いた。そこで彼らは伝説の街ヴォレンフェルを発見したと言われている。その街は実在したとしても、未だに発見されてはいない。

しかしいかにして、正体不明のローケンの首領がそのような途方もない投擲をやってのけたのか? ドゥエマー軍は戦争の遂行力と機械の歩兵で知られていた。ドゥエマーが武器一つを大陸横断するほどの距離まで手で投げる能力があったのだとすれば、なぜ彼らは戦争でそのような長距離攻撃を行わなかったのか? 現代のアークメイジであったとしても、物体をそのように長い距離で飛ばす魔法を発明するのは困難であっただろう。ヴォレンドラングが実は飛行エンジンで、失われたドゥエマーの機械技術の力によるものだったというのでなければ、一連の物語はボズマーの話のように思われる。

この説の提唱者に限らず、ドゥエマーのヴォレンドラングの飛行はさまよえるローケン・クランを単に詩的な想像力で表現したものだと信じる懐疑論者はいる。

ヴォレンドラングと呼ばれる2つ目の槌は、記録ではドゥエマー説とほぼ同じくらいに古くから存在しているが、今度はデイドラ公マラキャスが所有するデイドラのアーティファクトである。マラキャスの遺物はドゥエマーの槌と同じ名前で、そのため多くの人々は同じ伝説上の武器であると考えている。しかしなぜ、呪いの神が敵の手で造られたものと関わりをもつというのだろうか? ドゥエマーの作品の模造品を作るため? ドゥエマーが大事にしていたものを奪って彼らに対抗する道具として使うため? むしろ破壊工作的で間接的な、マラキャスの歴史的に伝えられてきた率直な精神性には似合わない行為だ。

アンガリンの「デイドラの武器」はこの槌の魔法的性質について推測している。この文章はいくつかの魔術師ギルドの論文を引用した上で、この槌が使用者に力を与え、打撃を加えた敵の強さを失わせると主張する。マラキャスの意図によく合致した性質である。疑問点は、それを名づけたのが定命の者だったのか、それともマラキャス自身だったのか、そしてローケンのクランが数世紀後に同じ槌を使用したのかどうかだ。

ヴォレンドラングとは何か。タムリエルには知りえぬ謎かも知れない。

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