著者不明。ハガセ付近の沿岸に打ち上げられたラ・ガーダのスクーナー船の残骸にて見つかったもの。学者チュルヘイン・フィーレによって後世のため保管され、この書に記述された。
我らは船を走らせる。ヨクダが荒れた海の向こうに沈み、雨雲に飲み込まれて視界から消え去るのを眺めながら、地平線へ向かって。長年の研究があれと共に沈んだ。我が生涯の仕事が。我が民と文化、国家と広大な都市も。私の民族は消えてしまった。
生きている者は命がけで走る。我らはかつて来た者たちの道を追う。よりよい生、より多くのものを求めて。
今、私は故郷での最後の瞬間が消えてしまう前に、その記憶を書き記している。私たちは港で、寒さと飢えの中身を寄せ合った。誰もが喪失を経験したが、打ちのめされてはいなかった。私たちは海鳥の歌を聞きながら船を補強した。船の紋章は灰色の空に明るく輝いた。いつも私の子供時代を、母のシチューを、そして波を見ていたことを思い出させるあの歌。
明日私たちに何が起ころうと、今日私たちは生き延びた。私は哀れみを求めるためにこれを書くのではない。知識は失われることも、奪われることもないと示すため。それはまだ私のうちに、私の民のうちに生きている。私たちが生きていて、誰かが覚えている限りは。
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