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書籍

ヴェヤの個人的メモ(パート2)

海にいる

計り知れない距離を航海する船の乗客になると、日を追うごとに退屈さが増していく。この退屈さのおかげで、自分の考えを整理できた。明らかになった出来事と、どうして今サマーセットに向かうことになったのか、理解しようとするために。

でも、あたしは何を熟考すべき? むろん、ここまで導いた状況だ。兄さんがどうやって奪い去られ、家のろくでもない名誉がどれだけ責めを負うべきか。あたしは兄さんの復讐をしたが、それによって父さんの命を奪った。かつての師は私を助けようとした。あたしを密かにモロウウィンドから連れ出し、遠い異国へ向かうこの船に乗せてくれた。残りたいというあたしの意見と嘆願を聞き入れなかったにせよ、彼女は善意でやってくれた。少なくとも、自分にそう言い聞かせ続けている。彼女は所属する組織や同盟、愛する者たちの多くに嘘をつかねばならなかった。あたしを無事に脱出させるために。

だが、彼女があたしを殺そうとしたことを、本当に忘れられるだろうか? やらねばならなかったことを止めようとしたことを? 彼女ともう1人。あたしは友人だと思っていた。あたしはまだ生きてる。それは意味のあることだと思う。

あたしは自分が正しいことをしたとわかってる。父さんをまた殺すことになっても。それがこの世界だ。政治と誇りがすべてだ。金と力の追求が。引き起こされるのは死、死、死。完全に終わらせるためなら、どんなことでもしてやろう。

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