ゼヨ・プレヴェット著
ゴーストハンターとして旅をする間に、あらゆる種類の奇妙な霊魂や異常な存在に出会ってきた。だが、カジートが稀に苦しむ憑依のようなものは見たことがない。最初は精神的なひきつれ、尻尾のかゆみ、当人は打ち消せない耳鳴りから始まる。
カジートの伝承によれば、これが迷い猫になる最初の兆候らしい。何もしなければ、カジートはさらに聞こえない曲に魅了される。ビートに合わせて動くようになり、ベントの踊りと呼ばれる奇妙な動きをする。このおかしな状態は単に病気の結果だと思えるだろうが、憑依された者がベントの踊りを始めたら、憑依されたことは見逃しようがない。
そのカジートが踊りを続けると、肉体に変化が生じ始める。毛皮が黒くなり、闇の力が身体から発せられ、普通の者にも見えるほどだ。他の種の憑依と異なり、憑依されても魂は消え去らず、他の霊魂に乗っ取られることはない。その代わり、元々の魂がねじ曲がってしまう。身体の変化が完了すると、もはやカジートではなくなり「ドロ・マスラ」に変わってしまう。この邪悪な霊魂は、ニルンを去るまでさらに苦痛を生み出す。
この恐ろしい症状と戦うために、カジートは旅の司祭の集団を結成した。彼らは奇妙な曲の影響に対抗するため歌を使う。それが「黄昏の先唱者」だ。彼らは自分たちが歌う「黄昏の賛歌」が、彼らの「神」であるアズラーからカジートへの贈り物だと言う。真実かどうかは証明できない。デイドラ公が世界に恐怖以外のものをもたらすとは考え難い。いずれにせよ、ベントの踊りに囚われたカジートを観察している限り、黄昏の先唱者の言葉は憑依された者を静めて、正気に戻していることは間違いない。ある先唱者が3日間歌い続け、被害者から不自然な力を排除したのを目撃したこともある。もしその休息がなかったら、彼女はさらに闇の道を進んで消え去る運命だっただろう。
この旅の秘術師たちはドロ・マスラとの戦いに備えながら、常に旅を続けている。黄昏の先唱者の所有物は少なく、任務に必要なものと道具だけを身につけている。任務に対する対価を求めることはなく、代わりに感謝の印としてカジートから差し出されたものを頼りに生活している。どうやらカジートは、先唱者たちに対して敬意と恐怖が混ざった感情を持っているようだ。先唱者が訪れることは間もなく不幸が訪れる兆しであり、彼らを迎え入れる家族は先唱者からの守護を確実にするため、すぐに贈り物をする必要があると一般的に信じられている。取り返しがつかないほど魂が破壊される危険があるわけだから、そうする理由は明らかだろう。
プロのゴーストハンターとして、毎日自らの魂を危険に晒しながら正義を貫こうとする、その献身には敬意を感じている。もしこの献身的な祈祷師に出会うことがあったら、礼儀正しく振る舞い、不断の努力と危険な仕事への敬意として金銭を渡すべきだ。
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