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書籍

アリーナの追跡

謎めいたファイトクラブに関する学術的考察について、エビダズナー・コーノッド著

私は実態がとらえにくく謎めいたチャンピオンを決める大会を捜し求めて何年も過ごしてきた。
最初にその秘密の闘技場についての話を聞いたのはヴァレンウッドだった。
そのときは美貌のビーリが大会の伝説的なチャンピオンになったと聞いていた。
手を尽くしたが、この噂される大会の所在や、対戦を実際に見た人に出会うことはできなかった。
ヴァレンウッドの宿屋ではビーリの腕前について持ちきりだったにもかかわらず、である。

数週間の無駄な捜索の末、ヴァレンウッドの大会の話はまるで何もなかったのように消えていった。
何らかの方法により、隠された巨大な複数階層のアリーナが忽然と消えてしまったのである。
私はこれにより、この話は真実というより伝説のようなものである証拠と推測したが、その場所については常に心に引っかかっていた。
それは夢にも現れ、思いもよらないときに考えを邪魔してくるのである。

次に謎の秘密アリーナについての話を聞いたのは、私がスカルド王のコヌンレイカーのためにウィンドヘルムにいた時だった。
薄暗い酒場の影で、ノルドの荒くれ者達が試合ごとに環境が変化する魔法の闘技場について話をしていたのである。
勝利することで次の試合に勝ち進み、負けは血塗られた凄惨な死を意味する。
私にとってその話は恐ろしくも魅力的であり、ノルドたちはその話をこれまでに飲んだ一番うまい酒を飲んでいるかのように聞きほれていた。

その場所はスカイリム・アリーナと呼ばれているらしいが、私はその闘技場の場所を突き止めることはできなかった。
この時、彼らは不愉快なホルグスタッドの輝かしい勝利についての話をしていた。
その者はノルドの中のノルドであり、トロールのごとき長身でその2倍の力を持つという。
ホルグスタッドは両刃の斧と稲妻を放つ短剣を持って試合に臨むといわれていた。
彼らによれば、ホルグスタッドには共に戦う3人のノルドの盾乙女がつき従い、その者たちは対戦相手を片っ端から倒していったという。
そしてアリーナの謎めいた主催者を大いに喜ばせた。

もう少しでその秘密の場所が突き止められるというところで、また話が聞けなくなってしまった。
それはまた起きた。
この古代の石造りのアリーナの噂は登場した時と同じように、ホルグスタッドや盾乙女達と共に唐突に消えたのである。
ノルドたちは応援し、輝かしいチャンピオンを祝って乾杯し、その後はまた領内で起きている日常の事柄への対処に戻っていったのである。

アリーナに近づくことは無理なのかと悲観していた時、私はドラゴンスターキャラバン社の荷馬車に乗っていた。
そこでキャラバンの護衛の1人が、この旅が終わってクラグローンに戻ったらドラゴンスター・アリーナに参加するということを吹聴していた。
彼は現チャンピオンを倒すだけの力があると考えており、後は仲間の護衛を3人説得して正式なチームを編成するだけであった。

夕暮れの焚き火を囲んでの飲み会で、私はその護衛からアリーナについて彼が知る限りの情報を入手した。
彼によれば、それは数週間前にドラゴンスターの街の裏側にある丘に突如現れた古代の遺跡であり、クラグローンやそれ以遠から挑戦者が秘密の大会に参加すべくそこに集結しているらしい。
彼らはアリーナの入口に仮設の野営地を設営したそうである。
私はこれこそが長らく捜し求めていたアリーナであると確信する。
大会が行き詰るたびに、何らかの方法により場所を変えていたのだろう。
このアリーナは、世界中を少しずつ動いていたに違いない。

今、私は大会へ参加するべくアリーナの中にいる。
私はどのようにして環境が変化するのか観察しなければならない。
試合ごとに不可能と思われることを成し遂げているのが古代の工学によるものなのか、それとも魔法によるものなのかを見極めねばならない。
そして、その謎めいた主催者が誰なのかも突き詰めたい。
私にも仮説はあるが、恐らく真実は考えている以上に奇妙な気がしてならない。

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