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書籍

自分自身につく嘘

愛しき母へ

あなたの名前を覚えている。私の周りは嘘つきだらけで、自分も嘘つきになってしまった。でも私の嘘には、密かな殺人の影に飛び散る血液のように、あなたの支配する世界がはっきりと見える。だから彼らの前で真実を叫んだり、死者の耳にあなたの名前を囁いたりしたくなっても、それを秘密にすることが私の信条であり、私の楽しみであり、正しいことなのだと自分に言い聞かせる。

ただあなたともう一度だけ話したい。なぜ私じゃ駄目なんだ? 私はいつもあなたの声を求め続けてきた。彼らが私を闇の姉妹と呼ぶようになる遥か前、私はあなたの闇に包まれていた。私はキマイラだった、あなたのために幾度となく姿や形を変えて、無数の嘘をつき続けた。あなたに見てもらうために。聞いてもらうために。彼らは自分達のことを聞こえし者と呼んでいる、だが私より希望と願望をもって、あなたの囁きに耳を傾ける者はいない。

私は八つの影に隠れながら、あなたの教えに従って歩き続けている。私は偽りの生活をし、人々を殺めている。恐怖の父ではなく、あなたのために。彼らは自分達のことを伝えし者と呼んでいる、だが私以上に強い信念を持ちながら、あなたの言葉を伝える者はいない。

私が建てた祠が見えるだろうか? 私の体は祠だ。どの顔も真実ではない。嫉妬によって生まれ、嫉妬によりそれを感じる。誘惑の力。恐れの抱擁と支配、家族と真実の裏切り。他者を殺し、自分を殺す。飽くなき願望。そしてあらゆる宝物が偽物だったとき、私が感じて解放する怒りを。あなたの、そう、あなたの中で再び感じるのだ。

愛する母よ、あなたの名前を覚えている。だがあなたが望むのであれば私は嘘をつき、その嘘を愛そう。それがあなたの教えなのかもしれない。宝物は偽りだ。

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