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書籍

森の闇

ジョセリン・マディア著

死者の魂で黒く染められた長靴を履き
恐怖の喘ぐ戸口に立った
乾いた茨の向こうに隠れた
狼の喉が遠吠えし、闇の枝が溜息をついた

一度だけその中を彷徨った
年央の心を持った元気いっぱいの若き日に
髪はまだ死の骨ばった手に掴まれてはいない
魂はまだ恐怖の熱い焼印を押されてはいない

苔に覆われた骨とスッポンタケの茎の上
私の足は恐ろしい、油まみれの滑車を見つけた
悪臭の闇が渦巻く木々の向こうに
唸り声をあげる血に飢えた生き物が潜んでいた

周り中で、奴らの息が聞こえた
雨に濡れそぼる森に響く弓鋸を引く音のように
そして遠吠え! あの陰気な聖歌
狩りの王ハーシーンと残忍な気まぐれ

私は向きを変え引っ掻く棘の間を走った
獲物の兎は私の目を見てうろたえる
ぎこちない一歩と共に唸り声が大きくなる
黄ばんだ牙が肉を切り開く

私はギザギザの木々の並びを突き抜ける
ボロボロのシーツをまとい、皮膚はひどく打たれている
しかし黒い狼は茨の茂みの後ろで怯んだ。
真っ黒な目は白い炎に輝きじっと見据えていた

「ここから逃げろ」そう言っているようだった
「お前の炉辺へ、うつろな喜びへ戻れ」
「だが我々狼はまだつきまとう」
「お前の最後の血に染まったスリルを求めて戻る!」

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