ウェイレストの年代記編者、ゼフリン・フレイ著
何年かが過ぎ去り、私はエメリック王とクログ族長の仲介役を頻繁に務めるようになっていた。
この役目と族長との間の変わらぬ友情もあり、クログの身に起きた多くの重大事件を知る機会に恵まれた。
さらに、事件そのものだけでなく、クログの考えや気持ちをも知ることができた。
それというのも彼は私を信頼し続け、相談役を務めさせ、離ればなれになっているときでさえ手紙をくれるほどだったからだ。(だが、残念ながら、そういうことではない。彼の妻の一人となる申し出は受けなかった。クログは族長となって間もなく妻を集め始めた。厩舎の主が馬を集めるのと違っていたわけではない。だがそのことはまたの機会に書こう)
クログは数年を費やして権力を固め、クランに力を蓄え、自分の目標と理想を支持する族長たちと同盟を結んでいった。
クログが大望の詳細を明かしたのは、およそこの頃のことである。
「偉大なるヤシュナグの衣鉢を継ぎ、スカイリムに侵攻する」と彼は書き送ってきた。
「ファルクリースでオークの王国を再興し、麗しのウェイレストに匹敵するオークの都を造る」。
クログが北で活躍している間、エメリック王はハイロック中央部の問題と格闘していた。
ショーンヘルムのランセル王がウェイレストに宣戦布告したのだ。
王と密会した後、クログの元に向かわねばならないと意を決した。
ドラゴンスター付近でクログに追いついたとき、彼の軍勢はスカイリム西部の山脈に集結しつつあった。
彼らは予想を越える困難に遭遇していた。
ノルドは内戦で割れてはいたものの、有能かつ勇敢な戦士であることを見せつけた。
ファルクリースへの道程は遠く険しかった。
岩と雪はこの戦争が終わる前に両陣営の戦士の血に染まるだろう。
ある晩、そばに腰を下ろし、燃え盛る炎を見ていると、クログはかつてエルスウェアで一緒に過ごした時のように腹を割って話してくれた。
「ノルドの奴らめ、」クログは言った。
「少しは礼儀をわきまえて、武器を置いて道を空けてくれてもよさそうなもんだ。だが、そんなことは起こらない。敵対してないクランの連中は俺たちに賄賂を送って自分たちの手助けをさせようとする。俺たちが征服者だとは思っていない。傭兵だと思ってやがるんだ! ファルクリースの夢はこの雪と氷に打ち砕かれちまうんじゃないかと思い始めたとこだ。ノルドどもも、あいつらのハチミツ酒もクソくらえ!」
私はクログの膝に手を置き、静かに言った。
「もし私が別の、もっといい夢を提案したらどうする? そしてその夢を実現する権限を与えたら?」
クログはじっと私を見つめていた。
そして立ち上がって、私を見下ろすと説明を迫った。
答える代わりに、私は外套に手を入れ、皮の書類ポーチを引き出して、クログに手渡した。
彼は炎の灯りで中身を読んだ。そして再び読んだ。さらにもう一度目を通した。
それから、これは何かの罠なのかと尋ねた。
私は罠などでないことを保証した。これは申し出だった。
「あなたがエメリック王に手を貸し、エメリック王があなたに手を貸すの」と言った。
そして私たちは夜更けまで話を続けた。
朝がくると、クログはすでにウェイレストへ復命させる要求のリストを用意していた。
私は舌を巻いた。
厳しい要求を突き付けてはいたが、エメリック王がランセルの戦争を一気に終わらせるために必要な力を貸すとも申し出ていた。
エメリック王に書類を早急に届けると告げた。
見返りとして、彼は自軍を待機させ、エメリックの号令に備えることを約束した。
ただし、署名の入った文書を手にするまでは動かないとのことだった。
このようにして、オークがダガーフォール・カバナントに加盟し、クログはロスガーの王となった。
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