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書籍

クログ王年代記、2巻

ウェイレストの年代記編者、ゼフリン・フレイ著

クログがウェイレストを訪れた際、エメリック王に引き合わせることができた。
彼はオークの戦士たちと連れ立っていた。
ガスパール・ストーカーズ傭兵団との契約を辞退したばかりで、ロスガーの荒野への帰途にあったのだ。
エルスウェアで親しくしていたよしみで、ウェイレストに寄るので会いたいという連絡をもらっていた。
私はすぐに承諾し、滞在中は観光案内をすると申し出た。

数日の間、クログに街を案内し、ブレトン社会の様々な食物を紹介した後(クログは本当に食べることに目がない!)で、ウェイレスト城を内密に訪れ、彼を驚かせた。
正直なところ、会談がどのような結果に終わるか多少の不安を覚えていた。
クログは声が大きく粗野な上、社交上の儀礼についてはほとんど何も知らない。
後から考えれば、心配するまでもなかった。
エメリック王とクログは意気投合したのだから!
政治や戦争に関して二人の考えは通じるところがあり、夢中になって相手を笑わせようとしていた。
その晩の終わりに、クログはロスガーに戻って、クランの族長という自らの正当な地位を奪還する予定であることを打ち明けた。

「心配すべきか?」
エメリック王は微笑みながら尋ねた。

「もちろん心配すべきですよ」
クログは笑った。
「ですが、あなたが気に入った。エメリック王。ハイロックに目を向けるのは、ファルクリースにあるヤシュナグの王国をなんとか再建してからにしよう」

二人が握手したとき、背筋に戦慄が走った。
重大な出来事を目撃しているのだという直感があった。
この瞬間がいずれどれほどの重要さを持つことになるのかは分からなかったけれども。
クログが暇乞いをしようとしたところで、エメリック王は驚き続きのこの晩に、さらにもう一つの驚きを付け足した。
「友よ」と、エメリックは切り出した。
「頼みがある。レディー・ゼフリンをロスガーに同行させてくれ。彼女は遠くの国々での私の目と耳の役を務めてきた。そして私は、そなたの野望の行く末を何としても知りたい」

クログは再び笑った。
周りを巻き込まずにはおかない笑い声だった。
「自分の密偵をロスガーに連れて行けとおっしゃるのか?」
またもクログは自身が多くの人が思っているような愚鈍なオークではないことを示した。
彼がいつから私の正体を察していたのか考えてしまった。
「ええい。彼女は愉快だし、食通だ。おまけにとびきりの美人ときてる。荷造りをしな。暖かい服を用意しておけよ。ロスガーの天気はちょっと肌寒いぞ」

そういう経緯で、私はクログの供をしてオークの国へと赴くことになった。

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