ウェイレストの年代記編者、ゼフリン・フレイ著
クログ・グロー・バグラクに初めて出会ったのはエルスウェアの荒野だった。
ウェイレストからきた学者を装ってはいたが、私の本当の目的はカジートの故国で見聞したことをウェイレストのエメリック王に報告することだった。
私は密偵という立場で、型破りでカリスマにあふれたオークの戦士と最初の邂逅を果たしたのだ。
彼はロスガーからきたばかりで、ガスパール・ストーカーズという傭兵団で身を立てようと奮闘していた。
聞く限りでは、勇敢で、頭が切れ、しかも抜群の身体能力を誇るとのことだった。
私にも確かにそのように見えた。
ブレトンの傭兵団長、ガスパール・エスムリーはどんな種族にも門戸を開いていた。
命令に従い、全力を尽くす限り、ガスパールは部隊に居場所を用意してくれた。
クログは、彼に忠誠を誓う精悍な戦士数名を引き連れて入隊した。
ほどなくして彼らはストーカーズの中で頭角を現し、最も危険な任務を任され、たんまりと分け前にあずかるようになっていた。
クログとは何度も会い、親しくなることができた。
彼は女に色目を使われるのが好きで、彼同様にカジート料理の食べ歩きを好む、気立てのよいブレトン女をとりわけ気に入ってくれた。
酒食を共にした折、油断した彼は、他の男の前では決して口にしないような話も聞かせてくれた。
オークレストの街の薄暗く怪しげな酒場で密会を重ねるうち、あるときクログは自身の過去と将来の夢を語り始めた。
オークの要塞の悲惨な暮らしは誰でも話に聞いている。
クログは、遠くロスガーにあるクランでの若かりし日のことを話してくれた。
彼は若い世代で最も強く、聡明な男だった。
強く、速く、そして多くの点で同世代やほとんどの年長者に抜きん出ていた。
しかし、彼はクランでの暮らしに物足りなさを感じていた。
戦で実力を示したかったのだ。世界を見聞したかったのだ。
そして彼も族長も、クログが要塞に少しでも長く居続ければ、どちらかが死ぬことになると確信していた。
それがオークの生き方だった。
不和を悪化させて族長に挑む代わりに、クログは腹心たちを引き連れてガスパール・ストーカーズという傭兵団のスカウトに身を投じた。
ハンマーフェルやシロディールの紛争で勝利に貢献した後、傭兵団はエルスウェアへとやってきた。
クログは得意の絶頂にあるようだった。
珍しいものを見、うまいものを食べ、女たちを抱き(彼の言葉だ、私のではない)、戦という戦で勝ちまくった。
スプーンですくったハチミツプリンをクログに食べさせ、もう片方の手は力強い腕に置き、無邪気を装って聞いた。
「でもこの先はどうするつもりなの、逞しいお兄さん?」
「この先だって?」
クログは笑った。
「国に帰るさ。老いぼれ族長を殺し、クランを牛耳るんだ!」
クログは当然とばかりに言い放った。
虚勢を張っているのではなかった。
私の気を引こうとしているわけでもなかった。
単に自分が信じていることを口にしただけだった。
そして実際、私もそう信じた。
彼は確実にエメリック王が注意しておくべきオークだった。
よく覚えておいてほしい。
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