はじめに
ベラミ・レヴァルソー著
クワマーの卵はいつもダンマーのごちそうでした。とはいえ、帝国の台所でも活用されていると聞いたことがあります。(あのような手合いがクワマーの卵でどんな不気味な料理を作るのか、知りようもありません。チキンに詰めるとか? ゆでてパンに乗せるとか? 彼らは尊大な人々なので、尊大な料理を作るのでしょう)
クワマーの卵をそれなりにうまく料理するとは、ぴりっとした酸味とねばねばした食感を使いこなすということです。この意味でクワマーの卵はスクリブのゼリーと同じで、若いシェフの多くが(年配の人に教えてもらえばよかったのに教えてもらわなかったダンマーのシェフさえも)卵を他の材料の背後に隠そうとして、不快感に気づかせまいとごまかそうとしています。シェフは自分の料理でクワマーの卵を甘くしたり、苦味を加えたりして謝罪してはなりません。適切な作り方をすれば、クワマーの卵の素材の持ち味に助けられて、グルメな教養人が刺激的な栄光のうちに料理を受け入れてくれることでしょう。
ではどのような準備が必要でしょうか? ダンマーだけが知っています。ダンマーだけが自身をクワマーの卵料理の達人と呼ぶ必要がある経験をするからです。つまり、クワマーを最初に手なずけたのは私達なのです。
私はといいますと、この技術に没頭して人生の大部分を過ごしてきました。農民にも貧民にも、大師範にも首領にも、クワマーの卵料理をお出しして、どなたにも喜ばれました。親愛なる読者のみなさん、この本には私の職歴すべてから得た知識が詰まっています。クワマーの卵の微細ながらも素晴らしく際立った種々の料理法を本当に究めるには一生かかるものですが、私はここにそのすべてを紹介しました。少なくとも価値のあるものすべてを。レシピ通り正確に作ってください。魔術師が魔法を唱える時、客間にデイドラを呼び寄せてしまわぬよう即興の呪文を控えるべきであるように、クワマーの卵の料理人は私がここで引いた道、長年の試行錯誤から苦心の末編み出した方法を外れてさまよってはいけません。
私を信じてください。うまくいけばわかります。
ああ、それから、ムーンシュガーは脇に置いておいてくださいね。卵が台無しになります。
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