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書籍

シルバースリップの日記

その1
今日、仕事があると言ってレッドガードが近づいてきた。ソングに関することだ。怪しいと思ったが少し興味もあったので、話を聞くと言った。ソングの家族は生きていて、彼女の無事を確かめようと必死だという。ソングは仲違いをして家を出たらしく、家族は私に彼女と話してもらいたいそうだ。考えておくと言っておいた。皆に伝えるべきだろうか。様子を見たほうがいいか。

その2
レッドガードがまた来た。今度は、ソングに手紙を届けてくれという。手紙は受けとった。ソングの母親からのようだ。迷っている。ソングに手紙を渡すべきか? いや、それだとソングに隠しごとをしていたのがばれてしまう。悪いことをしている気分だ。私は短気だし、たまに暴力も振るうが、ソングには無理だ。彼女を傷つけるなんてできない。この件でソングは傷つくだろうか?

その3
正直に言おう、誘惑に負けた。手紙を読んでしまった! 好奇心だったのか、それとも嫉妬か――どっちでもいい! 変な手紙だった。感情的で涙を誘うような内容かと思ったけど、もっと厳しそうな内容だった。それに、紙の上に奇妙な絵が描かれていた。眼だ。魔術師ギルドの旗に付いているようなやつとはちょっと違うけど、それを思わせる絵だった。さらに混乱してきた。手紙は燃やしてしまったほうがいいのかもしれない。

その4
なぜ? なぜ? なぜ? なぜ私は自分の直感を無視した!? 間違いだと感じていたのに、あの忌々しい手紙を受けとるなんて。つけられていなかったのは間違いない。なのに連中は私たちの拠点を見つけた。傭兵の一団が押し寄せ、私たちは全員捕まった。ジャカがどこに連れていかれたのかわからない。どうにかソングとは一緒になれたが、彼女はずっと泣いていた。どこに連れていかれるのだろう。わかっているのは、私のせいだということだけ。ソングに言いたかったが、怖かった。恥ずかしかった。とにかく二人でここを抜け出さなくては。エンバーが助けに来てくれるかもしれない。慎重にやらなければ。

その5
あの卑劣な奴らは、私を吸血鬼に売り渡した。でも正直言うと、当然の報いだ。笑えてきそうなくらいだ。ずっと皆のことを考えているけど、あの頃の生活はもう忘れなければ。皆には私が死んだと思ってもらったほうがいい。実際、死ぬべきなのだ。

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