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書籍

レッドガードの歴史と英雄たち 第3巻

トーンの剣狩りはソードシンガーと平民を分離したが、最後の皇帝の出現が砂漠の帝国に最後の大きな争いをもたらした。皇帝と妃のエリザが、ソードシンガーたちを倒して人々から帝国の支配権を奪おうとしたのだ。ヒーラはオークと帝国の戦いの残党たちによる悪の軍勢を使ってシンガーを一人残らず見つけ出し、この世から消そうと決意した。

ソードシンガーの数は決して多くはない。過酷な砂漠では生まれる命も少なく、その厳しい環境では鉄の勇気と意志を持つ者しか生き残ることはできない。かくしてこの「シンガーの戦い」として知られる最後の争いが始まる。だがソードシンガーたちは、己の命や住まいを守るために力を合わせて軍を作り上げる準備も心構えもできてはいなかった。

見つかったフランダー・フンディングは辞世の詩を邪魔され、突然シンガーたちの指揮官にされた。彼が洞窟にこもり積年の知恵や戦略、シェハイの使い方について書き記す時間があったことを無名の戦の神々に感謝しなければならない。シンガーたちはキャンプを離れ不毛の丘や山々、「山々の父」たるハッツ山のふもとに逃れた。フンディングが静かに書き物をし、死に場所に選んでいた場所だ。生き残ったシンガーたちはそこで円環の軍を結成する。彼らはフンディングの教えを学んだ。彼の戦略や戦術、敵に大きな一撃をくらわせる最終作戦を授かったのだ。

フンディングは7つの戦いを考案した。それにより徐々にヒーラの軍勢を、最終決戦の地ハッツ山のふもとの荒野へ導いたのだ。彼はこの計画を「ハンマーと金床」と呼んだ。戦いの内にシンガーたちはフンディングの戦略や戦術を学んでいき、シェハイの使用についても成長する。7つめの戦いまでに敵を倒せる力を身につけるのだ。かくして6つの戦いが行われた。戦いは勝敗のつかぬまま、次の戦いへとなだれ込む。数で勝るヒーラの軍勢はフンディングの小さな軍を追うが、30倍の数の敵にも教えを受けたシンガーたちはひるまなかった。そしていよいよ舞台は整った。ヒーラとその軍はハッツ山のふもとに展開、そこでハンマーの一撃が下ったのである。大激戦となり、多くのシンガーが命を落とした。生き残るシンガーはわずかでも、ヒーラとその悪の帝国は滅ぶとフンディングは予想し、そのとおりになった。

最後にはフンディングと2万人弱のシンガーが生き残り、悪の軍勢は誰ひとり残らなかった。その日ハッツ山では30万人以上が命を落としたのだ。逃げ出し生き延びた残党は散り散りになり、再び徒党を組むことはなかった。

シンガーたちは集まりテントを畳み、命を落とした仲間を悼んだ。そしてフンディングに従い、シーウィンド地域の大きな港街、アーチに向かった。そこでフンディングは小さな船団を待たせていた。シンガーたちは砂漠を離れ、新たな地へ向かうのだ。砂漠の帝国ではもう彼らは歓迎されず、伝説として歌われ語られるだけとなった。最後の偉大なる戦士、シェハイのシンガーと円環の書は、その美徳を認めない地から去ったのだ。戦わぬ市民の目に、彼らは血にまみれた赤き者だった。自分たちが巨悪から市民を守ったということを、彼らは気にもとめなかった。

新たな土地へと海を渡るシンガーたちは新たな生活を受け入れることを誓った。名は改めるが過去の栄光を捨てはしない。彼らは最後の戦いを称え、新たな地をハンマーフェル、自らをレッドガードと名付けたのだった。

偉大なる戦いの王子フンディングに敬意を表し、ハンマーフェルの家庭では暖炉の近くの壁にくぼみを作り、円環の書を収めている。

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